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役員給与の支給額っていつ変更していいの?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えします。
役員は、会社の経営に従事する者であり、言ってしまえば自身の給与額を自分で決めることができます。
そのため、役員給与の改定時期については税法上で一定の制限が設けられています。このルールを無視した改定を行うと役員給与が損金不算入となりますので注意が必要です。
後々税務調査で問題にならないよう、本記事を参考に「役員給与の改定時期」について理解しておきましょう。
定期同額給与とは?
定期同額給与とは、役員に対して支給される給与のうち、支給時期が1月以下の一定期間ごとである給与で、毎月一定額が支給されるものを指します。
法人税のルールに沿わない役員給与の改定が行われると、損金不算入となって税金が増える事態となってしまいます。
改定が認められる4つのケース
定期同額給与について、改定が認められるのは次の4つの場合です。
事業年度開始から3カ月以内
事業年度開始から3ヵ月以内であれば金額を変更することが可能です。
金額の変更は、株主総会や取締役会で決議されます。
業績悪化改定
予想外の業績悪化など合理的な理由がある場合、給与改定が認められます。
ただし、理由としては銀行や株主などの「第三者との関係上」支給額を減額する場合に限られます。
臨時改定
職制上の地位の変更、職務内容の重大な変更、その他これらに類するやむを得ない事情がある場合にも改定が認められます。
期首改定
支給額は、事業年度開始月から変更することも可能です。
定期同額給与とは、「当該事業年度開始の日から給与改定後の最初の支給時期の前日」が同額で、「給与改定前の最後の支給時期の翌日から当該事業年度終了の日」の支給額が同額であることが要件となっています。
前期の支給金額から同額であることは要件となっていないので、期首で支給額を改定、更に期首から3か月以内に株主総会で支給額を変更する2回の改定も可能と考えられます。
法第三十四条第一項第一号(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める給与は、次に掲げる給与とする。
一法第三十四条第一項第一号に規定する定期給与(以下第六項までにおいて「定期給与」という。)で、次に掲げる改定(以下この号において「給与改定」という。)がされた場合における当該事業年度開始の日又は給与改定前の最後の支給時期の翌日から給与改定後の最初の支給時期の前日又は当該事業年度終了の日までの間の各支給時期における支給額が同額であるもの
法人税法施行令第69条第1項:定期同額給与の範囲等
具体例
・前提条件:3月決算法人、給与支給日25日、改定後の最初の支給時期は7月25日
➀:当該事業年度開始の日(4/1)から給与改定後の最初の支給時期の前日(7/24)が同額
②:給与改定前の最後の支給時期の翌日(6/26)から当該事業年度終了の日(3/1)が同額
⇒➀及び②を満たせば定期同額給与に該当
実質基準による過大役員給与
定期同額給与に該当する場合でも、過大役員給与とされた金額は損金不算入となります。
過大役員給与の判定にあたっては、「形式基準」と「実質基準」の2つの基準がありますが、今回は「実質基準」について掘り下げて確認していきます。
実質基準では、下記の各判断要因を総合勘案して支給額が過大かどうか判定を行います。
□実質基準の判断要因
①当該役員の職務の内容
②その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況
③その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況
④等に照らし
法第三十四条第二項(役員給与の損金不算入)に規定する政令で定める金額は、次に掲げる金額の合計額とする。
一 次に掲げる金額のうちいずれか多い金額
イ 内国法人が各事業年度においてその役員に対して支給した給与(法第三十四条第二項に規定する給与のうち、退職給与以外のものをいう。以下この号において同じ。)の額(第三号に掲げる金額に相当する金額を除く。)が、当該役員の職務の内容、その内国法人の収益及びその使用人に対する給与の支給の状況、その内国法人と同種の事業を営む法人でその事業規模が類似するものの役員に対する給与の支給の状況等に照らし、当該役員の職務に対する対価として相当であると認められる金額を超える場合におけるその超える部分の金額(その役員の数が二以上である場合には、これらの役員に係る当該超える部分の金額の合計額)
法人税法施行令第70条第1項イ:過大な役員給与の額
収益及びその使用人に対する給与の支給の状況
各事業年度の役員報酬の支給額が、その法人の売上高・売上総利益・使用人給与と比較して高い推移率で増加している場合には、過大役員給与として否認された裁判例があります。
裁判例:TAINS:J54-3-16 平09-09-29裁決
事業内容及び事業規模が類似する法人の役員に対する給与の支給の状況
この要件については、税務署の情報収集能力が高く、税務署のエビデンスに勝る企業の証拠提示が認められないというのが通例となっています。
類似法人の抽出方法として、「業種、事業規模などが類似し、請求人の所在する地域の非常勤取締役が存する法人を選定したこと及当該類似法人に存する非常勤取締役に支給された年間報酬額の平均額をもって本件取締役に対する適正報酬額を算出した方法は妥当なものと認められることなどを勘案すると、原処分庁が、本件役員報酬のうち、不相当に高額な部分として算定した金額は相当と認められる」とされた裁判事例があります。
裁判例:TAINS:J70-3-14 平17-12-19裁決
また、事業規模が類似しているという点については、「売上金額は、法人の事業規模を示す最も重要な指標の一つであるということができることに照らせば、売上金額が請求人の本件各事業年度の売上金額を基準として2分の1以上2倍以下の範囲に含まれる法人を抽出した基準には合理性があるというべきである。」とされた裁判例があります。
また、当該裁判では、類似法人の役員報酬の平均額ではなく最高額を役員給与の相当額として認定しています。
しかし、これは当事者となった代表者が果たした功績が相当高い水準であったことを鑑みた結果であり、基本的には最高額ではなく平均額を役員給与相当額とすることとなります。
裁判例:TAINS:J107-3-06 平29-4-25裁決
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まとめ
今回は、役員給与の改定時期について解説しました。
ルールを無視した改定を行うと、役員給与が損金不算入となってしまいますので注意しましょう。
役員給与の改定時期について、不明点があればココナラからご質問ください。
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