【税理士解説】損害賠償金の税金はどうなる?非課税になる条件とは

損害賠償金  税務上の取り扱い 非課税 法人税

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・個人及び法人の損害賠償金の取り扱いを教えて

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。

「損害賠償金を支払うことになったが、経理処理や税務処理がよくわからない…」
「損害賠償金を受け取ったけど、確定申告が必要、?」

損害賠償金となると突然のことで、処理方法に疑問を持つ方も多いでしょう。

契約違反や不法行為による損害賠償が生じたとき、どのように税務上で取り扱われるのでしょうか?

本記事では、損害賠償金の種類や具体例、さらに税務処理まで詳しく解説します。損害賠償金に関する不安を解消しましょう。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

損害賠償金とは?その意義と具体例

損害賠償金の意義

損害賠償とは、「他人に損害を与えた者が被害者に対しその損害を填補し、損害がなかったのと同じ状態にすること」です。

損害には物理的な損害だけでなく、精神的な苦痛や経済的損失なども含まれます。

法律上では、契約違反や不法行為によって生じた損害を賠償することが義務付けられており、この義務に基づく支払いが損害賠償金です。

損害賠償金の種類

損害賠償金にはいくつかの種類があります。具体的には、次のような形で分類されます。

財産的損害に対する賠償金

物理的な財産の損害に対する賠償金。

たとえば、建物や車両、設備などの物品が損壊された場合に支払われる賠償金です。

身体的損害に対する賠償金

人身事故などによる身体的損害に対する賠償金。

治療費や慰謝料などがこれに該当します。

精神的損害に対する賠償金

精神的苦痛や精神的損害に対して支払われる賠償金です。

たとえば、誹謗中傷による精神的なダメージに対して支払われる慰謝料がこれに当たります。


個人事業主が損害賠償金を受け取る場合

個人事業主が損害賠償金を受け取る際、その賠償金が所得税の課税対象になるかどうかは、賠償金の性質によって異なります。

主な賠償金の性質は以下のように分類されます。

逸失利益に基づく損害賠償金

個人事業主が業務上の損害を受け、その逸失利益に対する損害賠償金を受け取った場合、その賠償金は事業所得または雑所得として所得税の課税対象になります。

逸失利益は「本来得られるはずだった利益」を補填する性質があるため、これが課税対象となるのは、受け取る賠償金が「利益」とみなされるからです。

物的損害に対する損害賠償金

物的損害、例えば業務用の車両や機械が損害を受けた場合、その修理費や購入費の補填として受け取る損害賠償金は課税対象外となります。

具体的には、業務用車両の修理費の補填、事業用機械の修理または交換費用などが挙げられます。

身体的損害に対する損害賠償金

個人事業主が業務中に身体的な損害を受け、その補償として損害賠償金を受け取った場合、これも非課税です。

国税庁の定めにより、身体的損害に対する賠償金は「課税されない所得」として扱われます。

これは、損害賠償金が治療費や慰謝料としての性質を持つからです。

〇個人が損害賠償金を受領する場合
・家事上に生じた場合:非課税
・業務上に生じた場合:非課税(収入補填に該当する場合は課税)


法人が損害賠償金を支払った場合

基本は損金算入

法人が損害賠償金を支払う場合、業務上生じた損害賠償金であれば基本的に損金算入が可能です

もなた
もなた

損害賠償金も事業に必要な経費だよねということです。

従業員の行動に起因する場合

ただし、損害賠償金の支出が従業員の行動に起因する場合は注意が必要です

従業員の行動に起因する場合、業務上生じたものであるのどうか疑義が生じるわけです。

法人自身ではなくて,役員又は使用人の責に帰すべき損害賠償金を法人が負担したような場合には,本来であれば,その役員又は使用人に対する給与として扱うべきものであろうと考えます。

従業員基因の場合には、➀法人の業務で生じたものか、②従業員の故意または重大な過失に基づくものではないかが争点となります。

法人の役員又は使用人がした行為等によつて他人に与えた損害につき法人がその損害賠償金を支出した場合には、次による。
(1) その損害賠償金の対象となつた行為等が法人の業務の遂行に関連するものであり、かつ、故意又は重過失に基づかないものである場合には、その支出した損害賠償金の額は給与以外の損金の額に算入する。
(2) その損害賠償金の対象となつた行為等が、法人の業務の遂行に関連するものであるが故意又は重過失に基づくものである場合又は法人の業務の遂行に関連しないものである場合には、その支出した損害賠償金に相当する金額は当該役員又は使用人に対する債権とする。
法人税法基本通達9-7-16:法人が支出した役員等の損害賠償金

法人が、9―7―16(2)に定める債権につき、その役員又は使用人の支払能力等からみて求償できない事情にあるため、その全部又は一部に相当する金額を貸倒れとして損金経理をした場合(9―7―16(2)の損害賠償金相当額を債権として計上しないで損金の額に算入した場合を含む。)には、これを認める。ただし、当該貸倒れ等とした金額のうちその役員又は使用人の支払能力等からみて回収が確実であると認められる部分の金額については、これを当該役員又は使用人に対する給与とする。
法人税法基本通達9-7-17:損害賠償金に係る債権の処理

資産の取得に関連する場合

工場の、マンションなどの建設に伴つて住民対策費などを支出する場合のその住民対策費については,たとえその支出が建設後に行われるものであつても、当該減価償却資産の取得価額に算入すべきとされています。

新工場の落成、操業開始等に伴つて支出する記念費用等のように減価償却資産の取得後に生ずる付随費用の額は、当該減価償却資産の取得価額に算入しないことができるものとするが、工場、ビル、マンション等の建設に伴つて支出する住民対策費、公害補償費等の費用(7―3―11の2の(2)及び(3)に該当するものを除く。)の額で当初からその支出が予定されているもの(毎年支出することとなる補償金を除く。)については、たとえその支出が建設後に行われるものであつても、当該減価償却資産の取得価額に算入する。
法人税法基本通達7-3-7:事後的に支出する費用

〇損害賠償金の損金算入の可否
・原則:損金算入が可能
・例外➀:従業員の行動に起因する場合
 業務上生じたもので、従業員の重大な過失等によらなければ損金算入
・例外②:資産の取得に関連する場合
 資産の取得価額に含める

損害賠償金の損金算入時期

損害賠償金の損金算入時期は、原則債務が確定した時となります。

ただし、相手方に申し出た金額を未払経理した場合には損金算入が認められます。

法人が、その業務の遂行に関連して他の者に与えた損害につき賠償をする場合において、当該事業年度終了の日までにその賠償すべき額が確定していないときであつても、同日までにその額として相手方に申し出た金額(相手方に対する申出に代えて第三者に寄託した額を含む。)に相当する金額(保険金等により補填されることが明らかな部分の金額を除く。)を当該事業年度の未払金に計上したときは、これを認める。
(注) 損害賠償金を年金として支払う場合には、その年金の額は、これを支払うべき日の属する事業年度の損金の額に算入する。
法人税法基本通達2-2-13:損害賠償金

〇損害賠償金の損金算入時期
原則:債務が確定した事業年度
例外:相手方に申し出た金額を未払い経理した事業年度

損害賠償金の消費税の取り扱い

損害賠償金を支払った場合、消費税は基本的に対象外となります。

消費税の要件である「対価を得て」に該当しないためです。

ただし、次のような損害賠償金は対価性があると認められるため、消費税課税仕入れとなります。

損害賠償金のうち、心身又は資産につき加えられた損害の発生に伴い受けるものは、資産の譲渡等の対価に該当しないが、例えば、次に掲げる損害賠償金のように、その実質が資産の譲渡等の対価に該当すると認められるものは資産の譲渡等の対価に該当することに留意する。
(1)損害を受けた棚卸資産等が加害者(加害者に代わって損害賠償金を支払う者を含む。以下5―2―5において同じ。)に引き渡される場合で、当該棚卸資産等がそのまま又は軽微な修理を加えることにより使用できるときに当該加害者から当該棚卸資産等を所有する者が収受する損害賠償金
(2)無体財産権の侵害を受けた場合に加害者から当該無体財産権の権利者が収受する損害賠償金(3)不動産等の明渡しの遅滞により加害者から賃貸人が収受する損害賠償金
消費税法基本通達5-2-5:損害賠償金

罰金等で損金不算入となるもの

損害賠償金とは異なり、罰金関連について一定ものは損金不算入となります。

罰科金等も事業遂行上必要な取引に基因して発生したものであれば,事業収益を得るために必要又は避けることのできなかつたものとして損金の額に算入されるべき性質の費用と考えられます。

しかし、罰科金等を損金とすると罰科金等を課したことによる効果がそれだけ減殺されることになり、罰金によつて経済的な苦痛を与えようとする刑の効果がそれだけ減殺することになります。

そこで法人税法は、社会政策的な要請によりこれを損金の額に算入しないこととしています。

5 内国法人が納付する次に掲げるものの額は、その内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
一 罰金及び科料(通告処分による罰金又は科料に相当するもの及び外国又はその地方公共団体が課する罰金又は科料に相当するものを含む。)並びに過料
二 国民生活安定緊急措置法(昭和四十八年法律第百二十一号)の規定による課徴金及び延滞金
三 私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(昭和二十二年法律第五十四号)の規定による課徴金及び延滞金(外国若しくはその地方公共団体又は国際機関が納付を命ずるこれらに類するものを含む。)
四 金融商品取引法第六章の二(課徴金)の規定による課徴金及び延滞金
五 公認会計士法(昭和二十三年法律第百三号)の規定による課徴金及び延滞金
六 不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)の規定による課徴金及び延滞金
七 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(昭和三十五年法律第百四十五号)の規定による課徴金及び延滞金
法人税法第55条第5項

税金関連で損金不算入となるもの

税金関連で損金不算入となるものは、国税庁の次のサイトで示されています。

損金の額に算入されない主な租税公課等は次のとおりです。
(1)法人税、地方法人税、都道府県民税および市町村民税の本税
(2)各種加算税および各種加算金、延滞税および延滞金(地方税の納期限の延長に係る延滞金は除きます。)ならびに過怠税
(3)罰金および科料(外国または外国の地方公共団体が課する罰金または科料に相当するものを含みます。)ならびに過料
(4)法人税額から控除する所得税、復興特別所得税および外国法人税
国税庁:損金の額に算入されない主な租税公課等

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まとめ

損害賠償金は、内容によって税務処理が異なるため、実態に即した処理が必要です。

判断に迷った際は、税理士に相談しながら対応しましょう。

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