【税理士解説】相続税から控除できる葬式費用の範囲は?

相続税から控除できる葬儀費用の範囲 税金

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

結論をお伝えすると、相続が発生した場合に必ず行われる葬式に要する費用は相続税の計算で控除することができます。

ただし、葬式に関連する費用でも控除できないものがあったり、控除できる人は限定的であったりするため、葬儀費用の控除について注意点を交えながら解説していきます。

この記事でわかること

・相続税の計算で葬式費用は控除できる
・葬式費用の範囲
・葬式費用を控除できない人
・領収書がない場合の対応

当ブログの信頼性

・この記事を書いている私は世界四大税理士法人に勤務する現役税理士です
・現職の前は2つの中小規模の税理士法人に勤務していました
・これまでに仕事で得た知識を基に解説しています

葬式費用は相続税から控除できる

葬式費用は相続に伴って必ず発生する費用であり、相続税の計算において支払った金額を控除できると相続税法に規定されています。

参考条文は次のとおりです。

相続又は遺贈(包括遺贈及び被相続人からの相続人に対する遺贈に限る。以下この条において同じ。)により財産を取得した者が第1条の3第1項第1号又は第2号の規定に該当する者である場合においては、当該相続又は遺贈により取得した財産については、課税価格に算入すべき価額は、当該財産の価額から次に掲げるものの金額のうちその者の負担に属する部分の金額を控除した金額による。
一 被相続人の債務で相続開始の際現に存するもの(公租公課を含む。)
二 被相続人に係る葬式費用
相続税法 第13条 債務控除

控除できる葬式費用の範囲は?

葬式費用は相続税の計算で控除できますが、一部控除できないものもあるので注意が必要です。

控除できる葬式費用・控除できない葬式費用を具体例を挙げながら解説します。

控除できる葬式費用

葬式費用として控除できる費用
・本葬式、仮葬式、告別式、葬送費用
・通夜や告別式でのでの飲食代
・葬式でのお花代
・埋葬費用、火葬費用、納骨費用
・葬式の前後で生じた費用で通常必要な費用(通夜の費用等)
・お寺などへの読経料のお礼費用
・葬儀を手伝ってくれた方への心づけ
・火葬場までの交通費や宿泊代
・参列者に渡す会葬御礼代
・死体の捜索、遺骨の運搬費用

葬式費用として控除できる費用の具体例を列挙しました。

ここに具体例としてあがっていないからといって、控除できないわけではありません。

葬式に際して通常必要と考えられるものであれば、葬式費用に含めて控除することができます

葬式費用の範囲に関しては、相続税法基本通達13-4にも記載されています。

法第13条第1項の規定により葬式費用として控除する金額は、次に掲げる金額の範囲内のものとする。
(1)葬式若しくは葬送に際し、又はこれらの前において、埋葬、火葬、納骨又は遺がい若しくは遺骨の回送その他に要した費用(仮葬式と本葬式とを行うものにあっては、その両者の費用)
(2)葬式に際し、施与した金品で、被相続人の職業、財産その他の事情に照らして相当程度と認められるものに要した費用
(3)(1)又は(2)に掲げるもののほか、葬式の前後に生じた出費で通常葬式に伴うものと認められるもの
(4)死体の捜索又は死体若しくは遺骨の運搬に要した費用
相続税法基本通達 13-4 葬式費用

控除できない葬式費用

葬式費用として控除できない費用
・香典返しの費用
・墓地の購入代金・借入料金
・初七日・四十九日・法事に要した費用
・遺体解剖費用

葬式費用として控除できない費用を列挙しました。

葬式に直接関係のない費用相続人が負担すべき費用は控除できないと考えてください。

香典返しの費用は控除することができませんが、いただいた香典は相続財産に含めなくてよいとされています。

さとし
さとし

香典を相続財産に含める必要がないなら、香典返しを控除できないのも納得ですね。

初七日や四十九日に要した費用は法会(ホウエ)に要する費用のため、控除できないとされています。

葬式は宗教に関係なく行いますが、法会は宗教によりやる場合とやらない場合があるため、控除できる費用から除かれていると言われています。

葬式費用に該当しないものは、相続税法基本通達13-5に記載されています。

次に掲げるような費用は、葬式費用として取り扱わないものとする。
(1)香典返戻費用
(2)墓碑及び墓地の買入費並びに墓地の借入料
(3)法会に要する費用
(4)医学上又は裁判上の特別の処置に要した費用
相続税法基本通達:13-5  葬式費用でないもの

また、国税庁のこちらのサイト「No.4129_相続財産から控除できる葬式費用」でも葬式費用の範囲について解説されていますよ。

葬式費用を控除できる人

葬儀費用は、相続税の計算において控除できると説明しましたが、全ての人が葬儀費用を控除できるわけではありません。

葬儀費用を控除できる人は、「相続人」か「包括受遺者」だけです

もなた
もなた

包括受遺者とは、「〇〇に相続財産の何分の1を残す」といった割合で指定する遺言で相続財産を取得した人と考えてください。

相続人・包括受遺者ではなく遺言で相続財産を取得した人が、いくら多額の葬式費用を支払っても控除できませんのでご注意ください。

法定相続人になっていない「孫」や「被相続人の兄弟姉妹」が葬儀費用を支払った場合が該当します。ただし、これらの方でも相続人に該当する場合には控除できますよ。

また、例外として相続放棄をした方が葬儀費用を負担した場合には控除することが認められています。

領収書がない場合

もなたの弟子
もなたの弟子

手伝ってくれた方への心づけなど領収書がないものがあるんですが、領収書がないと葬式費用に含めることはできませんか?

もなた
もなた

領収書がなくても葬式費用に含めることは可能ですよ!

相続税の申告時には、申告書に葬式費用の領収書を添付して申告する必要があります。

しかし、お寺への支払いや手伝ってくれた方への心づけなど領収書がもらえないものもあります。

領主書がもらえない場合、どうすればいいのか?

領収書がない場合は、支払日、支払金額、支払内容、支払った相手先名などを記載したメモの添付でも問題ありません。

領収書がなくても請求書がある場合は、請求書の添付でも大丈夫です。

相続税の申告は税理士に相談しよう

相続税の申告は、基本的には税理士への相談をおすすめします。

相続の場合は書類集め等の手間が煩雑で、税金を安くできる特例も税理士であれば把握しているため、結果として税理士に依頼した方が余計な手間がなくお金も節約できる可能性が高いためです

葬式費用に関しても、どこまでを控除できる費用に含めていいか税理士に相談できれば安心でしょう。

ただ、相続財産が現預金のみであったり、相続財産の合計額が基礎控除額以下になりそうということであれば税理士に依頼する必要はないかもしれません。

現金預金の相続税評価に関しては、次の記事で解説しています。

現金や銀行預金の相続税はいくらから?【税理士解説】
「現金や預金はいくらから相続税を納める必要があるの?」「現金や預金の相続税の評価方法は?」こんにちは。税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。今回はこんな疑問にお答えしていきます。現金や預金の評価方法はシンプルですので、主な...

相続財産は自分で評価できそうか、基礎控除額以内におさまるかを検討し税理士に依頼するかどうか判断してください。

税理士に依頼したいけど顧問税理士がいないという方は、「税理士紹介エージェント」というサイトで完全無料で税理士を紹介してもらえます。

まずは無料登録をし、相続に強い税理士を紹介してもらいましょう。

まとめ

今回は、相続税の計算における葬式費用の取り扱いを解説しました。

相続人が葬式費用を支払った場合には、相続税の計算で控除することができます。

ただし、香典返しや初七日に要した費用など、控除できないものもありますので注意してください。

まとめ
・葬式費用は相続税の計算で控除できる
・控除できる葬式費用は通常必要と認められる範囲
・控除できる人は相続人等限定的

次の記事では、相続が発生した場合にいつまでに相続税を納める必要があるか解説しています。

【税理士解説】相続税はいつまでに納める必要がある?
「相続税はいつまでに納付すればいいの?」「申告期限はいつまで?」「期限に間に合わない場合はどうなるの?」こんにちは。税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。今回はこんな疑問にお答えしていきます。相続は突如発生し、被相続人の方...

コメント

タイトルとURLをコピーしました