【税理士解説】遺留分放棄のメリットと手続き_民法特例も解説

遺留分の放棄のメリットと手続き 民法特例 相続税

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・遺留分放棄のメリットてなに?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。

遺留分放棄を考えているあなた。

相続における遺留分問題は、時に家族間でのトラブルや先代から次の経営者への事業承継の妨げになります。

しかし、遺留分放棄を正しく行うことで、相続の不安を大きく軽減し、希望する財産の分配が可能となります。

本記事では、遺留分放棄のメリット、遺留分の放棄に代わる民法特例の検討について詳しく解説します。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

遺留分放棄のメリット

立場ごとの遺留分放棄によるメリットを確認しましょう。

被相続人

希望通りの遺産分配が可能

遺留分権利者が遺留分侵害額請求を行うと、被相続人の意向が実現できなくなる可能性があります。

遺留分放棄により、被相続人の意図する通りに遺産を特定の相続人に相続させることができます。

相続トラブルのリスク軽減

被相続人は、相続後にトラブルが発生することを望みませんが、遺留分侵害額請求が起こると相続人間での対立が避けられません。

遺留分放棄により、トラブルの発生リスクを軽減できます。

遺留分放棄者

生前に代償金の受領

遺留分を生前に放棄することで、被相続人から遺留分に相当する代償金を受け取ることができます。

この結果、遺留分権利者は早期に財産を手に入れることが可能です。

親族間の関係維持

遺留分が侵害されると、相続人は遺留分侵害請求を巡って悩むことになります。

事前に遺留分を放棄しておけば、遺留分額を超えて受け取った者とのトラブルを回避し、親族関係の維持が図れます。

遺留分を超えて財産を受け取った相続人

代償金返還の回避

遺贈や贈与の後に遺留分侵害額請求が発生すると返還の義務が生じますが、遺留分放棄によりこのリスクを回避できます。

結果として、受け取った財産をそのまま保持することが可能です。

遺留分に関するトラブル防止

遺留分侵害額請求が発生すると、多くのトラブルや法的手続きが発生する可能性があります。

遺留分放棄により、こうしたトラブルを未然に防ぎ、スムーズな相続が実現できます。

遺留分放棄のデメリット

遺留分放棄のデメリットは、一度遺留分を放棄すると原則として遺留分を再び請求することができない点です。

これは、代襲相続が発生した場合も同様です。

遺留分放棄を決定する際、「現時点では生活に困っていないから遺産にこだわる必要はない」と考えることがあるでしょう。

しかし、相続の時期が来ると、状況が変わり、もっと多くの遺産が欲しくなる可能性があります。

それにも関わらず、一度放棄をした場合、その後遺留分を請求することはできません。

遺留分を放棄する際は慎重に判断する必要があります。

そもそも遺留分とは?

そもそも「遺留分」とは何でしょうか。

遺留分とは、法定相続人のうち兄弟姉妹を除く者に認められる「最低限の相続割合」を指します。

この制度は、相続人の生活保障と相続人間の公平な遺産分配を確保するために設けられています。

民法は、被相続人が自由に財産を処分できる一方で、一定の制限を設けることで、相続の公正を図っています。

遺留分は相続の開始時点で初めて発生します。

たとえ被相続人が相続開始前に遺留分を侵害するような贈与などの処分を行ったとしても、それが自動的に無効になるわけではありません。

相続開始後には、遺留分を侵害された者が遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを請求できます。

遺留分放棄は、遺留分侵害があった場合に遺留分侵害額請求を行わないという意志表示に相当します。

遺留分放棄の方法

遺留分放棄の手続きは、被相続人の生前と死後で異なります。

ここでは、両方の手続き方法について解説します。

生前の遺留分放棄

被相続人の生前に遺留分放棄を行う場合、家庭裁判所の許可が必要です。

これは、遺留分が相続人の法定権利であり、自由に放棄できるものではないためです。

家庭裁判所は、遺留分放棄の意志が強制されていないか、合理的な理由・必要性があるか、同等の代償があるかかなどを判断します。

相続開始後の遺留分放棄

相続開始後に遺留分放棄を行う場合、家庭裁判所の許可や一定の手続きは必要ありません。

手続きは簡単で、遺留分権利者が他の相続人や受遺者に「遺留分を放棄します」と伝えるだけで成立します。

ただし、口頭では証拠が残らないため、書面での意思表示を行うことが望ましいです

また、遺留分は侵害されていたら必ず請求しなければならないものではありません。

遺留分を侵害されても問題がないと考える場合は遺留分を請求せず放置していれば実質的な放棄となります。遺留分の時効は1年です。

民法特例の利用

民法特例の種類

遺留分放棄を行う際には、民法の特例を利用することも可能です。

前章で解説した遺留分の事前放棄は一定の要件を満たし、裁判所の許可も必要となるため利用するのが難しいという実情があります。

民法特例を適用するには、特定の合意が必要となります。以下に、特例の利用方法について詳しく解説します。

1. 除外合意

除外合意とは、推定相続人全員が生前に「株式について遺留分請求をしない」と合意することで、死後に遺留分請求が封じられるものです。

この合意により、相続人は株式等について遺留分として主張できなくなり、自社株が分散されることを防ぐことができます。

2. 固定合意

固定合意は、後継者が贈与した株式等の評価額を合意時の額で固定する手続きです。

合意後に株式の価値が上昇しても、遺留分侵害額は合意時の評価額に基づきます。

これにより、後継者の支払い負担が軽減される効果があります。

3. 付随合意

付随合意とは、除外合意や固定合意に加えて、他の財産についても遺留分侵害額請求の対象から外す合意です。

この合意により、後継者が贈与を受けた株式等以外の財産や、非後継者が贈与を受けた財産を遺留分算定基礎財産から除外することができます。

例えば、事業用の株式以外の財産を除外することで、後継者が事業用資産をスムーズに取得でき、事業承継が円滑に進行します。

民法特例を受けるための要件を、立場ごとに確認しましょう。

会社

中小企業で、3年以上継続して事業を行っていることが要件です。

先代経営者

会社の代表者であった(代表者である者を含む)ことが要件です。

後継者

合意時点において会社の代表者であり、先代経営者からの贈与等により株式を取得していて、単独で会社の議決権の過半数を保有していることが要件です。

民法の特例の手続き

民法特例を適用するための手続きは次のとおりです。

〇民法特例の手続き
➀遺留分権利者全員との合意
②合意日から1ヶ月以内に経済産業大臣へ申請
③経済産業大臣の確認後1ヶ月以内に家庭裁判所へ申立て

民法の特例には、難しい手続きは必要とされていません。

ただし、遺留分権利者の一人でも反対すると特例の利用ができない点に注意しましょう。

専門家に相談

遺留分の放棄や事業承継の検討をする場合、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

あなたの状況に応じた適切なアドバイスを提供してくれます。

まとめ

今回は、遺留分放棄のメリットについて解説しました。

遺留分放棄により、被相続人の意図する通りに遺産を特定の相続人に相続させることが可能となります。

ただし、一度遺留分を放棄すると原則として遺留分を再び請求することができないので注意しましょう。

遺留分放棄の適用要件を満たすことが難しい場合は、民法特例の適用を検討しましょう。

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