フリーランスが海外からの収入を確定申告する方法_換算レートは何を使う?

フリーランスが海外から収入を得た場合の確定申告 換算レート 所得税

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海外から収入を得たけど、確定申告なんてやったことがない…。

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんなお悩みにお答えします。

当記事では、海外収入の所得区分を判断する基準や、収入の計上時期、円換算レートについて注意すべきポイントを分かりやすく解説していきます。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

海外収入の所得区分

まずは、海外取引に係る収入が「事業所得」に該当するのか「雑所得」に該当するのかを判断する必要があります

事業所得の場合は赤字を給与所得と損益通算できるなど、雑所得と比べて税制上のメリットが大きくなります

収入額、活動の継続性・規模、帳簿作成状況などを基に判断することになりますが、年間収入が300万円以下であれば雑所得と見なされる可能性が高いです。

取引を帳簿書類に記録し保存している場合、その所得に係る活動について,一般的に,営利性,継続性,企画遂行性を有し,社会通念での判定において事業所得に区分される場合が多いと考えられます。

ただし、国税庁は、帳簿書類を保存していても,次のような場合には事業所得に該当するか個別に判断する必要があるとしています。

□個別判断が必要な場合
①収入金額が僅少:例年300万円以下の収入で主たる収入に対する割合が10%未満の場合
※「例年」とは,概ね3年程度の期間をいう
②その所得を得る活動に営利性が認められない:その所得が例年赤字で,かつ,赤字を解消するための取組みを実施していない場合
※「赤字を解消するための取組みを実施していない」とは,収入を増加させ,あるいは所得を黒字にさせるための営業活動等を実施していない場合をいう

給与収入がある場合には、副業の収入は雑所得に該当することが多いです。

次に掲げるような所得は、事業所得又は山林所得と認められるものを除き、業務に係る雑所得に該当する。
(省略)
(注) 事業所得と認められるかどうかは、その所得を得るための活動が、社会通念上事業と称するに至る程度で行っているかどうかで判定する
なお、その所得に係る取引を記録した帳簿書類の保存がない場合その所得に係る収入金額が300万円を超え、かつ、事業所得と認められる事実がある場合を除く。)には、業務に係る雑所得(資産(山林を除く。)の譲渡から生ずる所得については、譲渡所得又はその他雑所得)に該当することに留意する。
所得税法基本通達35-2:業務に係る雑所得の例示

「事業所得」と「雑所得」の判断基準をまとめると次の通りです。

収入金額記帳と帳簿書類の保存
ありなし
300万円超おおむね事業所得だが、
次のような場合には個別に判断する
(1) 収入金額が僅少
(2) 活動に営利性がない
おおむね業務に係る雑所得
300万円以下業務に係る雑所得

引用:税務通信「うちの経理部は海外取引に弱いんです!<第54回>副業で海外取引(上)・・・外貨収入の計上と円換算はどうする?」

「事業所得」と「雑所得」の判断については、次の記事で詳しく解説しています。

【税理士解説】事業所得と雑所得はどっちがお得?
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海外収入の計上時期

海外取引の場合は、収入計上時期の理解は非常に重要です

計上日によって換算レートが異なるため、計上日を間違えると円での収入金額が変わってしまいます

収入計上時期

確定申告は円建てで行う必要があります

外貨建の収入や必要経費を円に換算して、次にそれを他の円建ての収入や必要経費と合計して、所得を計算します。

収入計上日は次のどちらかの日となり、その日を含む年分の申告対象になりますので、その日の換算レート(TTM)を使って収入金額を円に換算します。

□収入計上日
・原則:成果物引き渡し日やサービス完了日
・特例:入金日

収入を計上すべき時期は原則は発生主義といって、代金が未収であっても収入に含める必要があります。

具体的には、物品の販売や成果物の引渡しが必要な取引なら引き渡した日、サービスを提供する取引なら提供を完了した日が収入を計上する日となります。(所基通36-8,14)

しかし、現実的に収入が確定した日がはっきりわからない場合も多く、特例として現金主義(入金日)で収益計上することも認められています

特例を使えば、代金が未収のうちは収入に含める必要がなく事務手間が簡便になります。

副業の場合は現金主義での収益計上が現実的でしょう。

特例を使うには申告書にその旨を記載する必要があり、確定申告書の第一表の「区分」欄に「1」と記入するようにしてください。

為替差損益の計上

外貨をそのまま保持している場合、後日円に換金する際に為替差損益が発生します。

この為替差損益も確定申告の対象となります。

海外収入の換算レート

原則はTTMレート

外貨の円換算に使う換算レートは、原則「電信売買相場の仲値(TTM)レート」です

TTMレートは、銀行が通貨の種類ごとにインターネットで公表しています。

自分の主たる取引銀行のTTMを調べて、そのレートで円換算したものを収入金額として計上しましょう。

TTMレートを使う理由は、一般的にTTB及びTTSは銀行の手数料が加味されたレートとなっているため、正しい換算レートはTTMレートと考えられるためです。

法第57条の3第1項((外貨建取引の換算))の規定に基づく円換算(同条第2項の規定の適用を受ける場合の円換算を除く。)は、その取引を計上すべき日(以下この項において「取引日」という。)における対顧客直物電信売相場(以下57の3―7までにいて「電信売相場」という。)と対顧客直物電信買相場(以下57の3―7までにおいて「電信買相場」という。)仲値(以下57の3―7までにおいて「電信売買相場の仲値」という。)による
ただし、不動産所得、事業所得、山林所得又は雑所得を生ずべき業務に係るこれらの所得の金額(以下57の3―3までにおいて「不動産所得等の金額」という。)の計算においては、継続適用を条件として売上その他の収入又は資産については取引日の電信買相場、仕入その他の経費(原価及び損失を含む。以下57の3―4までにおいて同じ。)又は負債については取引日の電信売相場によることができるものとする。
(注)1電信売相場、電信買相場及び電信売買相場の仲値については、原則として、その者の主たる取引金融機関のものによることとするが、合理的なものを継続して使用している場合には、これを認める。
所基通:57の3-2第1項:外貨建取引の円換算

例外のレート

原則的はTTMレートですが、継続適用を要件として、次のように換算レートを使うことができます。

□換算レートの例外
・売上その他の収入:TTB
・仕入その他の経費はTTSで

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まとめ

海外からの収入を得ているフリーランスの方にとって、正確な確定申告は重要です。

初めての確定申告だと複雑に感じるかもしれませんが、正しい知識と手順さえ押さえれば、スムーズに作業することが可能です。

この記事を参考に、まずは基本を押さえ、必要な準備を始めましょう。

不安がある場合は、私を含め専門家への相談をおすすめします。

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