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こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、個人から法人へ不動産を譲渡する場合の「時価」について解説します。
税法上の時価は取引当事者に応じて考え方が変わるなどとても複雑ですので、今回は不動産の内、建物の時価に焦点を当てて解説していきます。
個人から法人への譲渡による時間の考え方
個人から法人へ建物を譲渡する場合に適用される通達は下記のとおりです。
当事者 | 適用される税法 | 基本通達 | |
売主 | 個人 | 所得税法上の時価 | 所得税法基本通達 |
買主 | 法人 | 法人税法上の時価 | 法人税法基本通達 |
個人が譲渡した資産の価額が時価の2分の1を下回る場合には、時価で譲渡があったものとして、みなし譲渡課税の対象(所法59①二)になるので、時価の算定は慎重に行う必要があります。
一方で、法人が資産を時価よりも低い価額で譲り受けた場合には、その差額は受贈益として法人税が課税されます。
税法上建物の適正な時価に関して明確に示されたものはありませんが、建物の時価としては次の3つの評価方法が考えられ、どれを採用するかは、取引当事者間の選択ということになります。
建物の時価
➀不動産鑑定評価額
②固定資産税評価額×1.0
③未償却残高
不動産の時価
不動産鑑定評価
不動産鑑定士に鑑定評価を依頼できるようであれば、その価額を譲渡価額とすることが望ましいです。
不動産鑑定士に依頼するとコストが発生しますが、その価額について「不動産鑑定評価書」という第三者による客観的根拠が残り、恣意性のない通常の取引価額であることを説明できることは税務調査対策として有用です。
不動産鑑定士が算出した鑑定評価額は、原価方式、比較方式、収益方式の三方式により求めた試算価格を基にして調整を行い、適正とされる鑑定評価額を決定します。
固定資産税評価額
相続税・贈与税では固定資産価額を建物の時価としていることを考えると、固定資産税評価額を時価とすることも一つの方法です。
家屋の価額は,その家屋の固定資産税評価額(地方税法第381条⦅固定資産課税台帳の登録事項⦆の規定により家屋課税台帳若しくは家屋補充課税台帳に登録された基準年度の価格又は比準価格をいう。以下この章において同じ。)に別表1に定める倍率を乗じて計算した金額によって評価する。
財産評価基本通達89:家屋の評価
財産評価基本通達89に示されている家屋の固定資産税評価額に乗ずる倍率は、1.0倍と定められているので、固定資産税評価額=相続税法の家屋の時価となります。
固定資産税評価額を時価とすることについては、適正な時価を適切に算定することのできない特別な事情がない限り有用であることが、過去の裁判例でも示されています。
固定資産評価基準は,資産価値の把握方法として,一般的な合理性を有するものということができ,固定資産評価基準に従って算出された家屋の固定資産税評価額は,その評価方法によっては適正な時価を適切に算定することのできない特別な事情の存しない限り,当該家屋の客観的交換価値を上回るものではないと推認することができるから,家屋の価額について,固定資産税評価額に倍率1.0を乗じて計算した金額によって評価すると定める評価通達89についても,その一般的な合理性を肯定することができる。
平26.10.31札幌地判税務訴訟資料
未償却残高
建物の時価については、減価償却後の未償却残高を時価とすることも認められています。
本来、資産の「時価」については、当該資産が使用収益されるものと仮定して譲渡される場合に通常付される価額をいうものとされています。
法第33条第2項((資産の評価換えによる評価損の損金算入))の規定を適用する場合における「評価換えをした日の属する事業年度終了の時における当該資産の価額」は、当該資産が使用収益されるものとしてその時において譲渡される場合に通常付される価額による。
同条第4項((資産評定による評価損の損金算入))に係る令第68条の2第4項第1号((再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額))に規定する「当該再生計画認可の決定があった時の価額」についても、同様とする。
法人税法基本通達9-1-3:時価
しかし、土地のように一般的にその取引価額が客観的に明らかである場合はともかくとして,減価償却資産について通常付されるべき譲渡価額がいくらであるかは、その具体的判定にかなりの困難性を伴います。
そこで、減価償却資産の「時価」の解決方法として、再取得価額(新品としての取得価額)から旧定率法による減価償却を行つたものと仮定した場合に計算される未償却残額(旧定率法未償却残額)に相当する金額を時価として計算した場合には,税務上これを認めるとされています。
時価算定の基礎は「再取得価額」とされていますが、当該資産を取得してからさして年数が経過しておらず、その間に当該資産の市場価額にさして著しい変動がないと考えられる場合には,当該資産の法定未償却残額(旧定率法又は新定率法)をそのまま時価として用いられると考えられます。
法人が,令第13条第1号から第7号まで⦅有形減価償却資産⦆に掲げる減価償却資産について次に掲げる規定を適用する場合において,当該資産の価額につき当該資産の再取得価額を基礎としてその取得の時からそれぞれ次に掲げる時まで旧定率法により償却を行ったものとした場合に計算される未償却残額に相当する金額によっているときは,これを認める。
(1)法第33条第2項⦅資産の評価換えによる評価損の損金算入⦆ 当該事業年度終了の時
(2)同条第4項⦅資産評定による評価損の損金算入⦆ 令第68条の2第4項第1号⦅再生計画認可の決定等の事実が生じた場合の評価損の額⦆に規定する当該再生計画認可の決定があった時
(注)定率法による未償却残額の方が旧定率法による未償却残額よりも適切に時価を反映するものである場合には,定率法によって差し支えない。
法人税法基本通達9-1-19:減価償却資産の時価
法人が同族会社に該当する場合
法人が同族会社に該当する場合には、時価について更に注意が必要です。
同族会社に対し時価より著しく低い価額の対価で財産の譲渡をした場合には、その株主は当該財産の譲渡をした者から贈与によって取得したものとして取り扱われます(財産評価基本通達9-2)。
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まとめ
今回は、個人から法人へ建物を譲渡する場合の「時価」について解説しました。
「時価」の考え方としては、不動産鑑定評価、固定資産税評価額、未償却残高などにより算定するのが一般的であり、合理性のある時価としてどの評価方法を採用するかは取引当事者間の判断によって決められます。
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