*この記事はプロモーションを含みます。
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、租税回避防止規定について確認していきます。
同族会社等の行為又は計算の否認
この規定は、同族会社では税負担を不当に減少させるような行為や計算が行われやすいことをかんがみて、税負担の公平性を維持する目的から制定されています。
「法人税の負担を不当に減少させる」という不当性の判断については、これまでの裁判例から次の二つに大別することができます。
□不当性の判断の考え方2つ
①非同族会社では通常なし得ないような行為計算をした場合
②経済的,実質的見地において当該行為計算が純経済人の行為として不合理,不自然なものと認められる場合
つまり、法人が行った行為又は計算が、租税回避目的以外に合理的な理由ないし事業目的が存在しないと認められる場合に不当性に該当すると考えられます。
「同族会社等の行為又は計算の否認」規定は、所得税法(157条)、相続税法(64条)、地方税法(72条の43)にも規定されています。
税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 内国法人である同族会社
二 イからハまでのいずれにも該当する内国法人
イ 三以上の支店、工場その他の事業所を有すること。
ロ その事業所の二分の一以上に当たる事業所につき、その事業所の所長、主任その他のその事業所に係る事業の主宰者又は当該主宰者の親族その他の当該主宰者と政令で定める特殊の関係のある個人(以下この号において「所長等」という。)が前に当該事業所において個人として事業を営んでいた事実があること。
ハ ロに規定する事実がある事業所の所長等の有するその内国法人の株式又は出資の数又は金額の合計額がその内国法人の発行済株式又は出資(その内国法人が有する自己の株式又は出資を除く。)の総数又は総額の三分の二以上に相当すること。
法人税法第132条第1項:同族会社等の行為又は計算の否認
組織再編成に係る行為又は計算の否認
該当条文
税務署長は、合併、分割、現物出資若しくは現物分配(第二条第十二号の五の二(定義)に規定する現物分配をいう。)又は株式交換等若しくは株式移転(以下この条において「合併等」という。)に係る次に掲げる法人の法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には、合併等により移転する資産及び負債の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、法人税の額から控除する金額の増加、第一号又は第二号に掲げる法人の株式(出資を含む。第二号において同じ。)の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加、みなし配当金額(第二十四条第一項(配当等の額とみなす金額)の規定により第二十三条第一項第一号又は第二号(受取配当等の益金不算入)に掲げる金額とみなされる金額をいう。)の減少その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
一 合併等をした法人又は合併等により資産及び負債の移転を受けた法人
二 合併等により交付された株式を発行した法人(前号に掲げる法人を除く。)
三 前二号に掲げる法人の株主等である法人(前二号に掲げる法人を除く。)
法人税法第132条の2:組織再編成に係る行為又は計算の否認
裁判例(ヤフー事件)
ソフトバンクとヤフーの間で行われた組織再編行為で、資産調整勘定約100億円の計上、繰越欠損金約540億円の引継ぎについて、法人税の負担を不当に減少させる行為と認定された裁判例です。
本件買収、本件合併及びこれらの実現に向けられた原告の一連の行為は、租税回避をすることを目的とした異常ないし変則的なものであり、その行為又は計算を容認した場合には、法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる。
TAINS:Z264-12435
組織再編のスキームを検討する際は、「通常のスキームと比較して不自然ではないか」、「採用するスキームに税負担を減少させること以外の合理的な理由が存在するか」確認することが大切です。
通算法人に係る行為又は計算の否認
税務署長は、通算法人の各事業年度の所得に対する法人税につき更正又は決定をする場合において、当該通算法人又は他の通算法人の行為又は計算で、これを容認した場合には、当該各事業年度の所得の金額から控除する金額の増加、法人税の額から控除する金額の増加、他の通算法人に対する資産の譲渡に係る利益の額の減少又は損失の額の増加その他の事由により法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、当該通算法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。
法人税法第132条の3:通算法人に係る行為又は計算の否認
コメント