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こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
「事前確定届出給与」は正しく理解しないと、税務調査で損金不算入となり、法人税の負担が増えるリスクがあります。
一方で、適用要件を満たせば、役員賞与を損金算入できる有用な制度です。
本記事では、手続きの流れや注意点をわかりやすく解説し、税務調査で否認されないためのポイントをお伝えします。
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事前確定届出給与とは?
事前確定届出給与とは
事前確定届出給与とは、法人が役員に対し、事前に税務署へ支給額や支給時期を届け出たうえで、決められた時期に支給する賞与のことをいいます。
事前確定届出給与は、適用要件を満たすことで損金算入が認められます。
税務調査で適用要件を満たしていないと判断されると、損金不算入となり、法人税負担が増加する可能性がありますので注意しましょう。
定期同額給与と事前確定届出給与の違い
役員報酬の内、定期同額給与と事前確定届出給与の違いは次のとおりです。
項目 | 定期同額給与 | 事前確定届出給与 |
---|---|---|
支給タイミング | 毎月支給 | 事前に定めた時期に支給 |
税務署への届出 | 不要 | 必須 |
損金算入要件 | 毎月同額を支給 | 事前に届け出た金額・ 時期通りに支給 |
事前確定届出給与の手続き
手続きの流れは、次の通りです。
事前確定届出給与の決定
以下の事項を社内で決定する必要があります。
- 支給対象者(役員)
- 支給額
- 支給時期
株主総会または取締役会での決議
事前確定届出給与を支給するためには、株主総会または取締役会での決議が必要です。
税務署への届出
決議後、税務署へ「事前確定届出給与に関する届出書」を提出します。
届出期限
役員がその職務の執行を開始する日等から1月を経過する日までに税務署へ提出する必要があります。
実際の支給
届け出た内容通りに支給しなければ、損金不算入となるため、正確に支給を行いましょう。

事前確定届出給与の注意点
事前確定届出給与の注意点を紹介します。
職務執行期間に対応する賞与であること
事前確定届出給与の対象となる賞与は、当期の職務執行期間に対応するものが原則であり「過去の職務執行期間の対価」は対象外ですので注意が必要です。
例えば、前期に計上した役員賞与引当金を取り崩して支給する場合などは、「過去の職務執行期間の対価」とみなされる要因の一つとなります。
過去の裁判例(令和5年2月3日裁決(仙裁(法)令4-11))で、役員賞与引当金の取り崩しによる役員賞与の支給について、次のような裁判所の見解が述べられています。
引当金の会計処理は、企業会計原則の定める要件や諸原則に即して行われる企業の会計上の判断であって、取締役会の決定内容を直接明らかにするものではないから、引当金を計上し支給時にこれを取り崩す会計処理をしたとしても、 その会計処理をもって直ちに本件各役員給与に係る職務執行の時期が判断できるものではない 。
つまり、引当金を取り崩す会計処理をしただけでは「過去の職務執行期間の対価」とはいえないが、判断要素の一つにはなるという見解です。
一方で、前期の業績を参考に当期の支給額を決定する程度であれば「過去の職務執行期間の対価」には該当しないというのが基本的な考え方です。
賞与支給の枠取りを認める制度ではない
事前確定届出給与に関する届出を複数人分出しておいて、支給する人を選択することで事実上の節税が可能という意見があります。
この場合、「事前確定していない」として否認されるリスクがありますので注意しましょう。
会社と役員の関係は委任契約であり、委任に基づく職務執行の対価を定める時点において未払いが見込まれることはないと考えられ、未払いが見込まれる金額が含まれている届出額は「事前確定額」を届け出たものといえないという考え方です。
例えば、プロスポーツ選手が、呈示された報酬額について、所定の時期に支給を受けることができないかもしれない状況で、契約を結ぶことはないでしょう。
役員賞与未払いでも源泉徴収が必要
役員に対する賞与については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、源泉所得税の徴収が必要となりますので注意が必要です。
居住者に対し国内において 第28条 第1項(給与所得)に規定する給与等(以下この章において「給与等」という。)の支払をする者は、その支払の際、その給与等について所得税を徴収し、その徴収の日の属する月の翌月10日までに、これを国に納付しなければならない。
2 法人の 法人税法第2条 第15号(定義)に規定する役員に対する賞与については、支払の確定した日から1年を経過した日までにその支払がされない場合には、その1年を経過した日においてその支払があつたものとみなして、前項の規定を適用する。
所得税法 第183条(源泉徴収義務)
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まとめ
事前確定届出給与は、正しく手続きを踏めば法人税の負担を抑える有効な手段ですが、要件を満たさなければ思わぬ税務リスクを招く可能性もあります。
適用要件や注意点をしっかり押さえ、適切に支給することが重要です。
具体的な手続きや判断に迷った場合は、税理士に相談するのも一つの方法です。正しい知識をもとに、賢く制度を活用していきましょう。

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