【税理士解説】役員借入金の勘定科目と仕訳例は?

役員借入金 勘定科目 法人税

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・役員借入金の勘定科目や仕訳は?
・利息は支払った方がいいの?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。

役員借入金の勘定科目処理に迷っていませんか?

この記事では、役員借入金の勘定科目や具体的な仕訳例だけではなく、役員から借入をする場合の注意点も解説していますので参考にしてください。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

役員借入金とは?

役員借入金とは、会社の役員が会社に対して貸し付けるお金を指します。

通常、このような借入金は、会社の資金繰りの補助や事業拡大のために役員が自らの資金を投入する際に発生します。

役員借入金について適切な処理を行わないと、税務上のリスクが生じる可能性もありますので注意が必要です。

役員借入金の勘定科目と仕訳例

役員借入金の勘定科目

役員借入金の勘定科目は、「借入金」勘定を使用します。

要するに、通常の銀行借入金と同様に扱われます。

「借入金」勘定から派生する勘定科目として、「役員借入金」や「長期借入金」勘定で処理しても問題ありません。

また、役員借入金に係る利息が未払いとなる場合には、「未払金」勘定で処理しましょう。

具体的な仕訳例

借入時

例えば、役員が100万円を会社に貸し付けた場合、会計上の仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
現預金1,000,000借入金1,000,000

利息支払時

利息の支払に係る会計上の仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
支払利息1,000現預金1,000

支払った利息は、損金に算入できます。

返済時

借入金返済時の会計上の仕訳は次のようになります。

借方勘定科目借方金額貸方勘定科目貸方金額
借入金100,000現預金100,000

役員借入金の税務リスク

税務リスクの回避

役員から借入をする場合、利息の処理を適切に行わないと税務署からの指摘を受けるリスクがあります

会社と個人に対する税務上の考え方は異なります。

会社は利潤を追求する営利法人、個人は稼ぐことだけを目的とするわけではないと考えられています。

そのため、法人から役員への役員貸付金の場合は利息の徴収が必須ですが、役員から法人への貸付の場合は利息の徴収は任意です。

➀会社は利潤追求を目的とする営利法人
⇒会社から個人への貸付:利息徴収必須
②個人は稼ぐことだけを目的としているわけではない
⇒個人から会社への貸付:利息徴収任意

しかし、注意が必要なのは役員借入金の状況によっては、利息の徴収をしていないと追徴課税されるリスクがあることです。

過去の裁判例で、利息の徴収をしてないため追徴課税となった「平和事件」があります。

裁判の概要は次のとおりです(読み飛ばしてokです)。

〇事例概要
同族会社A社の出資者Bが、A社に対し無利息で金員の貸付をしたところ、Y税務署長が、いわゆる行為計算否認の規定を適用し、Bには利息相当分の雑所得があるものとして、Bに対し、更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分を行った。
〇判決要旨
本件の貸付けは、多額の金員を無利息、無期限、無期限、無担保で貸し付けたものである上、経営責任を果たすためのもの、社会通念の範囲の好意的援助、倒産等による損害の拡大を防止するためのもの等とも認められない不合理不自然なものであって、いわゆる行為計算否認の規定の適用の有無については十分な検討が必要であった。
他方、各解説書については、税務当局の見解が反映されていると受け取られても仕方ない面があるものの、上記のような経営責任を果たすための貸付け等を念頭に置いた解説がなされているのであり、その内容は本件の貸付けとは事案を異にしている。Xは、当時の裁判例等に照らせば、いわゆる行為計算否認の規定の適用の可能性を疑うべきであった。
最判平成16年7月20日パチンコ平和事件

「平和事件」を参照すると、役員借入金でも次のような場合には利息の徴収をしておくのが無難と考えられます。

〇役員借入金の利息を徴収すべき場合
・貸付金額、期間等の融資条件が同族会社に対する経営責任もしくは経営援助又は社会通念上許容される好意的援助と評価できる範囲に止まっていない
・当該会社が倒産すれば株主等が多額の貸倒れや信用の失墜による被害を被るなどの無利息貸付をする合理性が認めらない場合

通常の役員借入金は、上記のようなケースには該当しないと考えられるため原則的には利息の徴収は不要とする見解が多いです。

適切な利息の計算方法

役員借入金に対する利息を設定する場合は、会社の平均調達金利など合理的と認められる利率に設定することが一般的です。

利率の考え方としては、次の2つの基本通達に示されています(読み飛ばしてokです)。

使用者が役員又は使用人に対し金銭を無利息又は36―49により評価した利息相当額に満たない利息で貸し付けたことにより、その貸付けを受けた役員又は使用人が受ける経済的利益で、次に掲げるものについては、課税しなくて差し支えない。
(1) 省略
(2) 役員又は使用人に貸し付けた金額につき、使用者における借入金の平均調達金利(例えば、当該使用者が貸付けを行った日の前年中又は前事業年度中における借入金の平均残高に占める当該前年中又は前事業年度中に支払うべき利息の額の割合など合理的に計算された利率をいう。)など合理的と認められる貸付利率を定め、これにより利息を徴している場合に生じる経済的利益
(3)(1)及び(2)の貸付金以外の貸付金につき受ける経済的利益で、その年(使用者が事業年度を有する法人である場合には、その法人の事業年度)における利益の合計額が5,000円(使用者が事業年度を有する法人である場合において、その事業年度が1年に満たないときは、5,000円にその事業年度の月数(1月未満の端数は1月に切り上げた月数)を乗じて12で除して計算した金額)以下のもの
所得税法基本通達36-28:課税しない経済的利益……金銭の無利息貸付け等

使用者が役員又は使用人に貸し付けた金銭の利息相当額については、当該金銭が使用者において他から借り入れて貸し付けたものであることが明らかな場合には、その借入金の利率により、その他の場合には、貸付けを行った日の属する年の租税特別措置法第93条第2項《利子税の割合の特例》に規定する利子税特例基準割合による利率により評価する。
所得税法基本通達36-49:利息相当額の評価

平均調達金利以外にも、国税庁が示している利率や日銀の統計データを参照してもいいでしょう。

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まとめ

役員借入金の適切な勘定科目について解説しました。

役員借入金は「借入金」勘定で処理をしましょう。

「役員借入金」や「長期借入金」勘定で処理しても問題ありません。

借入金に係る利息を支払う場合には、当該利息は損金処理が可能です。

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