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・小規模宅地の特例を使いたいけれど同居はいつから必要なの?
・虚偽申告をしたらばれる?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。
小規模宅地の特例を使えば、居住用宅地の相続税評価額を80%減額することができます。
適用できる場合には是非活用したいですよね。
被相続人と同居をしていた親族が「小規模宅地の特例」を適用する場合、この「同居」の要件が税制上どのように見られるか気になるところです。
この記事では、同居の考え方や注意点を詳しく解説し、安心して特例を利用するためのポイントをお伝えします。
小規模宅地の特例とは?
特例制度の概要
小規模宅地の特例は、被相続人の居住用宅地や事業用宅地に関して、相続税の評価額を大幅に減額できる特例です。
居住用宅地の場合は最大330平方メートルまで、評価額を80%減額できます。
この特例を適用するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
特例適用の対象者
□小規模宅地等の特例(特定居住用宅地)の適用対象者
・配偶者
・同居していた親族(継続保有・居住)
・別居していた親族(家なき子)
被相続人と同居していた親族が宅地を相続する場合、特例を適用できるかどうかは「同居」の有無が鍵となります。
いつから住んでいれば同居になるの?
被相続人と同居していた親族が小規模宅地の特例を適用するためには、被相続人と同居していたことが求められます。
では、いつから同居していればこの要件を満たすのでしょうか?
実は同居について具体的な年数・期間についての定めはありません。
相続開始の1週間前に同居を始めた場合でも、本当に同居のために入居しているのであれば特例の対象となります。
「同居」の具体例
それでは、どのような場合には「同居」として認められるのか確認していきましょう。
相続人が単身赴任中の場合
被相続人とその家族が同居していて、相続人が単身赴任中だったとしても、その相続人と被相続人の同居は認められます。
この理由は、単身赴任が終われば相続人は家族とともに再び被相続人と同居することが想定されるためです。
別居中でも、生活の基盤は家族が住む家にあると見なされます。
被相続人の死亡後、相続人が転勤
被相続人が亡くなった後、相続税の申告期限前に相続人が転勤で単身赴任することになった場合、その家を離れても、同居していたことは認められます。
このケースでは、家族を残して単身赴任しているため、生活の基盤は相続人の家族が住んでいる家にあると判断されます。
ただし、家族全員で引っ越してしまった場合は、生活の拠点が移動したと見なされ、小規模宅地等の特例は適用されません。
老人ホーム入居中に死亡した場合
被相続人が老人ホームに入居していて、そのまま亡くなった場合でも、相続人がその家に住み続けるならば、同居と認められます。
「同居」にならないケース
区分登記された二世帯住宅
二世帯住宅の場合、登記が重要です。
親子で区分所有登記をしている二世帯住宅では、同居として認められない可能性が高いです。
例えば、1階と2階で親子がそれぞれ暮らしている二世帯住宅で、建物を全体的に同じ名義で登記するのではなく、個別に登記した場合です。
この場合には、被相続人が居住していた部分のみが小規模宅地の特例の対象となります。
被相続人等の …… 居住の用に供されていた部分 ( 当該居住の用に供されていた部分が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物( 建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物を除く。 ) に係るものである場合には,当該一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分を含む。 ) に限るものとする。
一方で,区分所有建物の登記がされていなければ,生計を別にしていた親族の居住の用に供されていた部分についても,被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の部分に含まれることとなります。
法第69条の4第1項に規定する被相続人等の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等のうち政令で定めるものは、相続の開始の直前において、当該被相続人等の同項に規定する事業の用又は居住の用(同項に規定する居住の用をいう。以下この条において同じ。)に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいう。以下この条において同じ。)のうち所得税法第2条第1項第16号に規定する棚卸資産(これに準ずるものとして財務省令で定めるものを含む。)に該当しない宅地等とし、これらの宅地等のうちに当該被相続人等の法第69条の4第1項に規定する事業の用及び居住の用以外の用に供されていた部分があるときは、当該被相続人等の同項に規定する事業の用又は居住の用に供されていた部分(当該居住の用に供されていた部分が被相続人の居住の用に供されていた一棟の建物(建物の区分所有等に関する法律第1条の規定に該当する建物を除く。)に係るものである場合には、当該一棟の建物の敷地の用に供されていた宅地等のうち当該被相続人の親族の居住の用に供されていた部分を含む。)に限るものとする。
租税特別措置法施行令第40条の2第4項:小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例
住民票が同一でも、実態が別居
同居の判断は、住民票の登録内容だけでなく、実際にどのように生活しているかに基づいて行われます。
住民票が同じ住所であっても、実際には別々に生活している場合は、同居とは見なされません。
逆に、実際に同居しているが住民票が異なる場合でも、同居として認められることがあります。
介護のための一時的な同居
普段は別居している親族が、被相続人の介護のために一時的に同居していた場合、被相続人が亡くなった後でも、その期間だけでは同居として認められません。
被相続人が亡くなった後も、遺品整理などのために一定期間住み続けたとしても、同居と見なされることはありません。
週末だけの同居
平日は相続人が自分の家で生活し、週末のみ被相続人と一緒に過ごしている場合、その生活基盤は相続人の自宅にあると判断され、同居とは認められません。
国税庁の具体例
国税庁の次のサイト「小規模宅地等の特例の対象となる「被相続人等の居住の用に供されていた宅地等の判定」で同居の判断基準について示されています。
□同居の判定基準
・日常生活の状況
・建物への入居目的
・その建物の構造及び設備の状況
・生活の拠点となるべき他の建物の有無
上記等の事実を総合勘案して判定する
短期間での同居はリスクがある
相続直前に同居を開始した場合、税務署から「節税目的での偽装同居」と疑われるリスクがあります。
リスクを最小限に抑えるためには、同居を開始する際に、住民票の移動だけでなく、実際に生活していることを証明する資料を整備することが重要です。
具体的には、光熱費の請求書や郵便物の受取記録などが有効です。
同居がばれるケースとは?
実際に住んでいない場合のリスク
同居の実態がないのに特例を適用した場合、税務調査でばれると考えておきましょう。
税務署は、特例適用の適正性を確認するため、実際の同居状況を厳しくチェックします。
同居が偽装であることが発覚した場合、特例の適用が取り消され、多額の追徴課税が発生することがあります。
税務署の調査能力をなめてはいけません。虚偽申告はやめましょう。
偽装同居とみなされるパターン
税務調査で「偽装同居」とみなされるケースとしては、次のような場合が考えられます。
・住民票を移しただけで実際には住んでいない
・郵送物が別の家に届いていた
・他の居住地がありそちらに居住していた
・通勤定期の出発地点が別の家
・生活の実態がない(例:電気や水道の使用量が極端に少ない)
・ご近所さんへのヒアリング etc
これらの状況が確認されると、特例適用は非常に難しくなります。
また、偽装とみなされた場合は、特例の適用が取り消されるだけでなく、重加算税が課される可能性もあります。
小規模宅地の特例を確実に活用する
専門家のアドバイスを活用する
小規模宅地の特例を適用するには、税理士などの専門家の知識が必要です。
誤った判断をすると、せっかくの特例が無効になるリスクがあるため、初期段階から適切なアドバイスを受けることが重要です。
同居の証拠を整備しておく
日々の生活の中で、同居の実態を証明できる資料をしっかりと整備しておきましょう。
住民票の移動だけではなく、公共料金の支払い履歴や郵便物の受取記録など、実際にその場所に居住していることを示す証拠を集めておくことで、万が一の税務調査にも対応できます。
まとめ
今回は、小規模宅地の特例の要件である「同居」について解説しました。
同居の時期や期間についての定めはありません。
同居の有無は実態判断となりますので、税務署に主張ができるよう状況証拠を揃えておきましょう。
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