寄付金が損金不算入になるのはなぜ?【税理士解説】

寄付金が損金不算入となるのはなぜ?理由は? 法人税

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こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。

寄付金を支出した場合、「この寄付は損金として計上できるのか?」と疑問に思うことがありますよね。

寄付金は、税務上一定の限度額までしか損金算入ができません

しかし、寄付金の種類によっては全額損金算入が認められるものもあります

本記事では、寄付金がなぜ損金不算入となるのか、例外的に損金算入できる寄付金の種類について詳しく解説します。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

なぜ寄付金は損金不算入となるのか?

寄付金とは

寄付金とは、法人が国・地方公共団体・特定の団体・個人などに対して無償で金銭や物品を贈与することを指します。

また、税法上の寄付金の範囲は、日常生活でイメージされる寄付金の範囲より広く、経済的な利益を贈与した場合なども寄付金とみなされます。

損金不算入となる理由

寄付金は「事業に関連しない資金の支出」としての性質が強く、事業活動とは関係のない支出とみなされるため損金算入に制限がかけられています

また、企業が寄付を行った際にその全額を損金算入できると、資本力のある企業ほど税負担を軽減できることになります。

もなた
もなた

全額損金算入okとすると、利益がでたら寄付をすれば税金を恣意的に減らせることになりますからね。

これでは、税負担の公平性が損なわれるため、一定の制限をかける必要があります。

例外的に損金算入できる寄付金とは?

寄付金は、その寄付金の性質によって分類され、その分類に応じて損金算入できる金額が異なります。

寄付金の分類と損金算入限度額の関係は次の通りです。

□寄付金の分類
➀国・地方公共団体への寄付⇒全額損金算入
②指定寄付金⇒全額損金算入
③特定寄付金⇒一定の金額まで損金算入
④一般寄付金⇒一定の金額まで損金算入

具体的に一つずつ確認していきましょう。

国・地方公共団体への寄付

国,都道府県,市町村に対する寄附金は、結局は国又は地方公共団体に租税と同様の意味で帰属するものと考えられるため、全額の損金算入が認められています

内国法人が各事業年度において支出した寄附金の額(次項の規定の適用を受ける寄附金の額を除く。)の合計額のうち、その内国法人の当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える部分の金額は、当該内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上、損金の額に算入しない。
3第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
一 国又は地方公共団体港湾法(昭和二十五年法律第二百十八号)の規定による港務局を含む。)に対する寄附金(その寄附をした者がその寄附によつて設けられた設備を専属的に利用することその他特別の利益がその寄附をした者に及ぶと認められるものを除く。)の額
法人税法第37条第3項第1号:寄付金の損金不算入

後援会その他の募金団体に対する寄付金

国又は地方公共団体に対する寄附金とは,国又は地方公共団体において採納されるものをいいます。

さらに、国立又は公立の学校等の「後援会その他の募金団体」に対して間接的に支出する寄附金であつても、最終的に国等に帰属することが明らかなものは国等に対する寄付金に該当します

寄付金の領収書等や募集要項等で、該当寄附金が最終的に国等に帰属することが確認できるか確認をしてみましょう。

法第37条第3項第1号((国等に対する寄附金))の国又は地方公共団体に対する寄附金とは、国又は地方公共団体(以下この款において「国等」という。)において採納されるものをいうのであるが、国立又は公立の学校等の施設の建設又は拡張等の目的をもつて設立された後援会等に対する寄附金であつても、その目的である施設が完成後遅滞なく国等に帰属することが明らかなものは、これに該当する。
法人税法基本通達9-4-3:国等に対する寄付金

災害時の寄付金

災害救助のための寄附金は,都道府県知事が救助を実施する区域として指定した区域の義援金等の募集を行う募金団体に対して拠出したものであるときは,その義援金等が最終的に義援金配分委員会等に対して拠出されることが明らかにされていれば,国等に対する寄附金に該当します。

募金団体の具体例としては、日本赤十字社,新聞・放送等の報道機関等などが挙げられます。

この義援金配分委員会等は、災害対策基本法などに基づいて関係都道府県又は市町村に設置されるものであり、最終的に義援金配分委員会等に拠出されることが明らかな義援金等は地方公共団体に対する寄附金に該当するとみなされます

法人が、災害救助法が適用される市町村の区域の被災者のための義援金等の募集を行う募金団体(日本赤十字社、新聞・放送等の報道機関等)に対して拠出した義援金等については、その義援金等が最終的に義援金配分委員会等(災害対策基本法第40条第1項((都道府県地域防災計画))の都道府県地域防災計画又は同法第42条第1項((市町村地域防災計画))の市町村地域防災計画に基づき地方公共団体が組織する義援金配分委員会その他これと目的を同じくする組織で地方公共団体が組織するものをいう。)に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされているものであるときは、法第37条第3項第1号((国等に対する寄附金))の地方公共団体に対する寄附金に該当するものとする。
(注) 海外の災害に際して、募金団体から最終的に日本赤十字社に対して拠出されることが募金趣意書等において明らかにされている義援金等については、特定公益増進法人である日本赤十字社に対する寄附金となることに留意する。
法人税法基本通達9-4-6: 災害救助法の規定の適用を受ける地域の被災者のための義援金等

指定寄付金

国が認定した「指定寄付金」は、全額損金算入できます

指定寄付金は、公益性,緊急性が高いものとして国が支援すべきと判断した寄付金に該当するためです。

「赤い羽根募金」などが、指定寄付金に該当します

3第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに次の各号に掲げる寄附金の額があるときは、当該各号に掲げる寄附金の額の合計額は、同項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。
二公益社団法人、公益財団法人その他公益を目的とする事業を行う法人又は団体に対する寄附(当該法人の設立のためにされる寄附金その他の当該法人の設立前においてされる寄附金で政令で定めるものを含む。)のうち、次に掲げる要件を満たすと認められるものとして政令で定めるところにより財務大臣が指定したものの額
イ 広く一般に募集されること。
ロ 教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に寄与するための支出で緊急を要するものに充てられることが確実であること。
法人税法第37条第3項第2号:寄付金の損金不算入

特定公益増進法人への寄付

教育又は科学の振興,文化の向上,社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与する「特定公益増進法人」に対する寄附金で,その法人の主たる目的である業務に関連するものを支出した法人については,一定の金額を損金の額に算入することができます。

4 第一項の場合において、同項に規定する寄附金の額のうちに、公共法人、公益法人等別表第二に掲げる一般社団法人、一般財団法人及び労働者協同組合を除く。以下この項及び次項において同じ。)その他特別の法律により設立された法人のうち、教育又は科学の振興、文化の向上、社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金(出資に関する業務に充てられることが明らかなもの及び前項各号に規定する寄附金に該当するものを除く。)の額があるときは、当該寄附金の額の合計額(当該合計額が当該事業年度終了の時の資本金の額及び資本準備金の額の合計額若しくは出資金の額又は当該事業年度の所得の金額を基礎として政令で定めるところにより計算した金額を超える場合には、当該計算した金額に相当する金額)は、第一項に規定する寄附金の額の合計額に算入しない。ただし、公益法人等が支出した寄附金の額については、この限りでない。
法人税法第37条第4条:寄付金の損金不算入

特定公益増進法人というのは,①公共法人,②公益法人等その他特別の法律により設立された法人であることがまず第一に要件となります。

第二の要件として、教育又は科学の振興,文化の向上,社会福祉への貢献その他公益の増進に著しく寄与するものとして政令で定めるものに対する当該法人の主たる目的である業務に関連する寄附金である必要があります。

具体的には、次のような法人が該当します。

法第37条第4項(寄附金の損金不算入)に規定する政令で定める法人は,次に掲げる法人とする。
一 独立行政法人通則法(平成11年法律第103号)第2条第1項(定義)に規定する独立行政法人
一の二 地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項(定義)に規定する地方独立行政法人で同法第21条第1号又は第3号から第6号まで(業務の範囲)に掲げる業務(同条第3号に掲げる業務にあつては同号チに掲げる事業の経営に,同条第6号に掲げる業務にあつては地方独立行政法人法施行令(平成15年政令第486号)第6条第1号又は第3号(公共的な施設の範囲)に掲げる施設の設置及び管理に,それぞれ限るものとする。)を主たる目的とするもの
二 自動車安全運転センター,日本司法支援センター,日本私立学校振興・共済事業団,日本赤十字社及び福島国際研究教育機構
三 公益社団法人及び公益財団法人
四 私立学校法第3条(定義)に規定する学校法人で学校(学校教育法第1条(定義)に規定する学校及び就学前の子どもに関する教育,保育等の総合的な提供の推進に関する法律(平成18年法律第77号)第2条第7項(定義)に規定する幼保連携型認定こども園をいう。以下この号において同じ。)の設置若しくは学校及び専修学校(学校教育法第124条(専修学校)に規定する専修学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)若しくは各種学校(学校教育法第134条第1項(各種学校)に規定する各種学校で財務省令で定めるものをいう。以下この号において同じ。)の設置を主たる目的とするもの又は私立学校法第64条第4項(私立専修学校等)の規定により設立された法人で専修学校若しくは各種学校の設置を主たる目的とするもの
五 社会福祉法第22条(定義)に規定する社会福祉法人
六 更生保護事業法第2条第6項(定義)に規定する更生保護法人
法人税法施行令第77条:公益の増進に著しく寄与する法人の範囲

日本赤十字社に対する寄付金は、財務大臣の認証を受けているものかどうかで区分が異なります。

義援金等で最終的に義援金配分委員会に対して拠出されるもの指定寄付金
財務大臣の承認を受けているもの指定寄付金
その他(事業費・経常経費)特定寄付金

その他の一般寄付金

一般の団体や個人への寄付であっても、法人の資本金や所得金額に応じた一定額までは損金算入が可能です。

〇その他の寄付金の相手先の例
・神社
・商工会議所
・日本中央競馬会
・政治団体 など

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まとめ

寄付金は事業経費としての性質が弱く、損金不算入に対して一定の制限が設けられています。

ただし、国や地方公共団体への寄付金、公益性の高い指定寄付金は全額損金算入が可能です。

寄付を行った場合は、当該寄付金の区分を確認し、適切に税務処理を行いましょう。

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