【税理士解説】試験研究費の範囲はどこまでが対象?具体例付き

試験研究費 範囲 具体例付 法人税

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・試験研究費はどこまでが対象なの?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。

試験研究費の範囲について悩んでいませんか?

企業活動における重要な経費である試験研究費を正確に理解することは、試験研究費税制を活用して節税効果を最大化するための鍵です。

この記事では、税理士が試験研究費の範囲についてがわかりやすく解説し、あなたの疑問を解決します。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

試験研究費とは?

試験研究費とは、企業が新製品や技術の開発、改良を行う際に発生する費用のことです。

法人税法上、これらの費用は通常の経費とは異なり、特別な取り扱いがなされます。

具体的には、研究開発税制において税額控除の対象となるため、企業にとっては大きな節税効果を持つことになります。

試験研究費の範囲

対象となる費用の範囲

試験研究費とは、新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行う調査、収集、分析に係る費用を指します。

新製品の製造又は新技術の改良、考案若しくは発明に係るものに限らず、現に生産中の製品の製造又は既存の技術の改良、考案若しくは発明に係るものも含まれます。

具体的には、以下のような費用が含まれます。

  • 人件費: 研究者や技術者の給与や賞与。
  • 材料費: 試作品の製作に使用される原材料や部品の購入費用。
  • 外注費: 外部の研究機関や専門業者に委託した場合の費用。
  • 機械装置費: 試験研究のために購入、またはリースした機械装置の費用。

試験研究費の意義については、次の措置法で定義されています。

19 この条において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 試験研究費の額 次に掲げる金額の合計額(当該金額に係る費用に充てるため他の者(省略)から支払を受ける金額がある場合には、当該金額を控除した金額)をいう。
イ 次に掲げる費用の額法人税法第二十二条第三項第一号に掲げる額に該当するものを除く。)で各事業年度の所得の金額の計算上損金の額に算入されるもの
(1) 製品の製造又は技術の改良、考案若しくは発明に係る試験研究(新たな知見を得るため又は利用可能な知見の新たな応用を考案するために行うものに限る。)のために要する費用(研究開発費として損金経理をした金額のうち、ロに規定する固定資産の取得に要した金額とされるべき費用の額又はロに規定する繰延資産となる費用の額がある場合における当該固定資産又は繰延資産の償却費、除却による損失及び譲渡による損失を除く。(2)において同じ。)で政令で定めるもの
(2) 対価を得て提供する新たな役務の開発に係る試験研究として政令で定める試験研究のために要する費用で政令で定めるもの
ロ イ(1)又は(2)に掲げる費用の額で各事業年度において研究開発費として損金経理をした金額のうち、棚卸資産若しくは固定資産(事業の用に供する時においてイ(1)に規定する試験研究又はイ(2)に規定する政令で定める試験研究の用に供する固定資産を除く。)の取得に要した金額とされるべき費用の額又は繰延資産(イ(1)に規定する試験研究又はイ(2)に規定する政令で定める試験研究のために支出した費用に係る繰延資産を除く。)となる費用の額
措置法42条の4第19条第1項:試験研究を行つた場合の法人税額の特別控除

「新たな」がポイント

試験研究費の該当するかどうかの判定にあたっては、「新たな知見」や「新たな役務」に該当するのかが一つの判定ポイントになります。

「新たな」が要件とされているのは,対象から改良を排除する趣旨によるものです。

つまり、開発費にあたっては、今まで自社では開発・提供したことのないサービスである必要があります。

ただし,単なる改良ではない,既存のサービスに新たなサービスを付加するような場合には,「新たな役務」に該当するとみるのが合理的であると考えられます。

そこで,法人が提供する役務が従前に提供している役務と比較して新たな内容が付加されている場合には,「新たな役務」に該当するものとして取り扱われます。

42の4(1)―4 措置法第42条の4第19項第1号イ(2)に規定する試験研究は新たに提供する役務に係るものに限られるのであるから、同号イ(2)の「新たな役務」に該当するかどうかは、その役務を提供する法人にとって従前に提供していない役務に該当するかどうかにより判定する。
措置法通達42の4(1)―4:新たな役務の意義

42の4(1)―5 法人が従前に提供している役務がある場合において、当該法人が提供する役務が措置法第42条の4第19項第1号イ(2)の「新たな役務」に該当するかどうかについては、例えば、当該法人が提供する役務が従前に提供している役務と比較して新たな内容が付加されている場合又は当該法人が提供する役務の提供方法が従前と比較して新たなものである場合には、「新たな役務」に該当する。
措置法通達42の4(1)―5:従前に提供している役務がある場合の新たな役務の判定

対象外となる費用

一方で、以下の費用は試験研究費の範囲から除外されます。

〇試験研究費の対象外
(1) 人文科学及び社会科学に係る活動
(2) リバースエンジニアリング(既に実用化されている製品又は技術の構造や仕組み等に係る情報を自社の製品又は技術にそのまま活用することのみを目的として、当該情報を解析することをいう。)その他の単なる模倣を目的とする活動
(3) 事務員による事務処理手順の変更若しくは簡素化又は部署編成の変更
(4) 既存のマーケティング手法若しくは販売手法の導入等の販売技術若しくは販売方法の改良又は販路の開拓
(5) 性能向上を目的としないことが明らかな開発業務の一部として行うデザインの考案
(6) (5)により考案されたデザインに基づき行う設計又は試作
(7) 製品に特定の表示をするための許可申請のために行うデータ集積等の臨床実験
(8) 完成品の販売のために行うマーケティング調査又は消費者アンケートの収集
(9) 既存の財務分析又は在庫管理の方法の導入
(10) 既存製品の品質管理、完成品の製品検査、環境管理
(11) 生産調整のために行う機械設備の移転又は製造ラインの配置転換
(12) 生産方法、量産方法が技術的に確立している製品を量産化するための試作
(13) 特許の出願及び訴訟に関する事務手続
(14) 地質、海洋又は天体等の調査又は探査に係る一般的な情報の収集
(15) 製品マスター完成後の市場販売目的のソフトウエアに係るプログラムの機能上の障害の除去等の機能維持に係る活動
(16) ソフトウエア開発に係るシステム運用管理、ユーザードキュメントの作成、ユーザーサポート及びソフトウエアと明確に区分されるコンテンツの制作

これらの範囲は、国税庁の次のサイト「試験研究の範囲」が参考になります。

試験研究費に関する税務上の留意点

研究開発税制の活用

試験研究費は、研究開発税制の対象となり得るため、企業はこれを活用して税額控除を受けることが可能です。

ただし、税額控除を受けるためには、適切な税務処理が求められます。

証拠書類の整備

試験研究費の範囲を明確にするためには、証拠書類の整備が不可欠です。

人件費や材料費などの支出に関する領収書や契約書を適切に保管し、税務調査に備えることが重要です。

まとめ

試験研究費の範囲を理解することは、試験研究費の税額控除制度を利用するための第一歩です。

特に、研究開発税制を最大限に活用するためには、適切な経費分類と証拠書類の整備が必要です。

この記事を参考に、自社の試験研究費を見直し、税務戦略を強化しましょう。

試験研究費に関するお悩みについては、税理士に相談して解決してください。

税理士のおすすめの探し方については、次の記事で解説しています。

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