【税理士解説】事業所得と雑所得はどっちがお得?

事業所得と雑所得はどっちがお得? 個人の方向け

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事業所得と雑所得はどっちがお得?

こんにちは。
税理士のもなた(@monata.zeirishi)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

結論からお伝えすると

「月とすっぽん」です。

「事業所得」と「雑所得」では、「事業所得」が圧倒的に有利です。

もなた
もなた

比べるまでもありません。

「事業所得」はどんな点が有利なのか?本記事で確認していきましょう。

当記事でわかること

・「事業所得」の有利な点
・そもそも「事業所得」「雑所得」とは
・「事業所得」として申告できる条件

当ブログの信頼性

・この記事を書いている私は世界4大税理士法人に勤務する現役税理士です
・現職の前は2つの中小規模の税理士法人に勤務していました
・これまでに仕事で得た知識を基に解説しています

事業所得と雑所得はどっちがお得?

事業所得と雑所得を比較した場合、事業所得の方が税金の面で圧倒的に有利です。

事業所得には、雑所得では使えない次のような税制上の優遇措置があるためです。

➀給与所得等と損益通算ができる
②損失の繰越ができる
③青色申告の特典による節税効果が得られる

一つずつ制度内容を確認してみましょう。

給与所得等と損益通算ができる

事業所得が赤字の場合には、給与所得等と赤字の金額を損益通算ができます。

例えば、

・給与所得:500万円
・事業所得:△300万円

の場合には、損益通算ができるため課税所得を200万円まで減らすことができます。

もなた
もなた

課税所得が減る=税金が安くなるということです。

一方で、雑所得は他の所得と損益通算ができないため事業所得の方が有利になります

損失の繰越ができる

事業所得は、赤字を翌年以降3年間にわたって繰り越すことも可能です。

例えば、2023年に給与所得と事業所得を損益通算した結果トータルで300万円の赤字になったとします。

2023年の所得
・給与所得:500万円
・事業所得:△800万円
⇒合計課税所得:△300万円

事業所得では、この赤字を翌年以降3年間繰り越すことが可能です。

そのため、2023年に繰り越した赤字300万円は2024年の給与所得等と損益通算ができます。

2024年の所得
・給与所得:500万円
・2023年から繰り越され事業所得:△300万円
⇒合計課税所得:200万円

雑所得は赤字の繰越ができないためこの点からも事業所得が有利です

青色申告の特典による節税効果が得られる

事業所得は、青色申告の特典による節税効果が得られます。

青色申告の特典としては、次のようなものがあります。

青色申告特別控除65万円の特別控除が受けられる
青色事業専従者給与事業に携わる家族への給与を経費にできる
少額減価償却資産の特例取得価額が30万円未満の資産を資産計上せずに全額経費にできる

各種制度の詳細は次の記事で解説しています。

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「事業所得」「雑所得」とは

そもそも「事業所得」「雑所得」とはなんなのか?

簡単に説明します。

個人で得た所得は、種類に応じて次の10種の所得区分に分類されます。

利子
所得
預貯金や公社債投資信託の収益の分配に係る所得等
配当
所得
株主が法人から受ける配当や、投資信託の収益の分配などに係る所得
不動産所得不動産の貸付けによる所得
事業
所得
事業から生ずる所得
給与
所得
勤務先から受ける給料、賞与などの所得
退職
所得
退職により勤務先から受ける退職手当の所得
山林
所得
山林を譲渡したり、立木のままで譲渡することによって生ずる所得
譲渡
所得
資産を譲渡することによって生ずる所得
一時
所得
上記利子所得から譲渡所得までのいずれの所得にも該当しないもので、営利を目的とする継続的行為から生じた所得以外の一時の所得
雑所得上記利子所得から一時所得までの所得のいずれにも該当しない所得

「事業所得」は、表にあるとおり個人が営む「事業から生ずる所得」です。

フリーランスの方が得る所得は基本的に「事業所得」に該当してきます。

「雑所得」は、雑所得以外の9種の所得区分のいずれにも該当しない所得です。

「公的年金等」、「生命保険契約等に基づく年金」などが雑所得の代表例です。

事業所得として申告できる所得

A君
A君

「事業所得」は「雑所得」より有利だということがわかりました。
副業のyoutubeで最近収益がでてきたから「事業所得」で確定申告しようっと。

もなた
もなた

ちょっと待ってください!
副業で生じた所得は「事業所得」として申告できない可能性があるので注意しましょう。

会社員の方が副業で得た収入は、「事業所得」か「雑所得」で申告することになります。

「事業所得」の方が税金面で有利なため当然「事業所得」で申告したくなりますが、「事業所得」として申告するためには一定のハードルがあります。

副業による収入が次の条件を満たす場合には「事業所得」として申告可能です。

◎「事業所得」として申告できる場合
・帳簿の記載および保存をしている
・副業収入が主たる収入の 10%未満ではない
・所得が例年赤字ではなく、赤字を解消するための取組を実施している

下記図がわかりやくまとめられています(クリックで拡大)。

国税庁:雑所得の範囲の取り扱いに関する所得税基本通達の解説

「事業所得」として認められるためには、「帳簿の作成と保存」が重要です

帳簿を作成する場合は、会計ソフトを導入しましょう。

会計ソフトがあれば仕訳入力だけで帳簿は自動作成されるので事務手間を大幅に削減でき、青色申告特別控除などの節税につなげることができます

おすすめの会計ソフトについては、次の記事で解説しています。

【税理士おすすめ】個人事業主向け会計ソフト3選
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まとめ

今回は、事業所得と雑所得はどっちがお得かについて解説しました。

事業所得は雑所得と比べて次のようなメリットがあるため、条件を満たす場合には事業所得として申告した方が有利になります。

➀給与所得等と損益通算ができる
②損失の繰越ができる
③青色申告の節税効果が得られる

当ブログでは、フリーランスの方が税金で損をしないための情報をロードマップ形式で紹介しています。

フリーランスの税金ロードマップ【税理士解説】
フリーランスの税金を開業から法人化までロードマップにして解説!税金の知識がゼロの方でもわかるように解説します。

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