「仮想通貨を年またぎで売却する場合の注意点は?」
「仮想通貨を年またぎで売却する場合の計算方法を教えて」
「仮想通貨の収益認識タイミングは?」
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
仮想通貨を年またぎで売却する際の注意点
損益通算
株式や投資信託は損益通算が可能です。
株式で利益が出ていて投資信託で損失が出ていれば、株式の利益と投資信託の損失を相殺することができます。
一方で、仮想通貨は株式や投資信託と損益通算ができません。
これは税法上の所得区分の違いによるもので、仮想通貨は「雑所得」、株式や投資信託は「譲渡所得」に該当するためこのような取り扱いになります。
ただし、仮想通貨同士の損益通算は可能です。
ビットコインで利益10万円、イーサリアムで損失が6万円発生した場合には、利益は4万円(10万円-6万円)になります。
年末付近に損益通算目的で仮想通貨の売却を考えている場合、株式や投資信託との損益通算はできない、仮想通貨同士の損益通算は可能ということを理解しておきましょう。
仮想通貨の損益通算
・株式や投資信託と損益通算はできない
・仮想通貨同士の損益通算はできる
損失の繰越
株式や投資信託は、売却損失が出た場合には翌期以降の3年間にわたりその損失額を繰り越すことができます。
今年の損失額を翌年以降の利益と相殺できるということですね。
一方で、仮想通貨は損失の繰越ができません。
今年出た仮想通貨の売却損は、翌年以降の売却益と相殺できません。
含み損を抱えている仮想通貨の売却を検討している場合、他の仮想通貨で売却益が出る見込みがあれば同一年度に売却することで節税しましょう。
損失の繰越
・株式や投資信託は損失の繰越ができる
・仮想通貨は損失の繰越ができない
仮想通貨の収益認識タイミング
仮想通貨の売却益をどの年の確定申告に含めて申告するかは、どのように判断すればいいの?
仮想通貨は損失の繰越ができず、仮想通貨同士の損益通算しかできないためどの年の所得にするか判断が重要です。
では、仮想通貨を売却した場合にどの年分の所得として確定申告をするか?判断基準は次のとおりです。
原則:仮想通貨の引き渡しがあった日の属する年分
例外:売却等に関する契約をした日の属する年分
原則と例外は好きな方を選択できます。
つまり、仮想通貨を売却した場合には「引き渡しがあった日」、または「売却等に関する契約をした日」の属する年分の所得として確定申告をしてください。
このことは、国税庁のこちらのサイト「暗号資産に関する税務上の取扱いについて」でも明記されています。
年末付近で売却を考えている場合、「引き渡しの日」または「契約した日」が所得としたい年に含まれているか注意して取引を行いましょう。
仮想通貨の収益認識時期について、念のため条文も確認しておきましょう。根拠規定までは興味がないよという方は、読み飛ばして頂いて大丈夫です。
雑所得の収益計上時期については、次の通達で確認できます。
雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期は、次に掲げる区分に応じそれぞれ次に掲げる日によるものとする。
(1) 法第35条第3項《雑所得》に規定する公的年金等
(以下省略)
(2)(1)以外のもの
その収入の態様に応じ、他の所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期の取扱いに準じて判定した日
所得税基本通達 36-14 雑所得の収入金額又は総収入金額の収入すべき時期
仮想通貨は、公的年金等ではないので「(2)(1)以外のもの」に該当します。
仮想通貨の譲渡の態様つまり性質は、株式の譲渡等と同様の性質ですので「譲渡所得」の取り扱いに準じて収入すべき年を判断することになります。
譲渡所得の収益計上時期は、下記通達から確認できます。
山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、山林所得又は譲渡所得の基因となる資産の引渡しがあった日によるものとする。ただし、納税者の選択により、当該資産の譲渡に関する契約の効力発生の日(農地法第3条第1項《農地又は採草放牧地の権利移動の制限》若しくは第5条第1項本文《農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限》の規定による許可(同条第4項の規定により許可があったものとみなされる協議の成立を含む。以下同じ。)を受けなければならない農地若しくは採草放牧地(以下この項においてこれらを「農地等」という。)の譲渡又は同条第1項第7号の規定による届出をしてする農地等の譲渡については、当該農地等の譲渡に関する契約が締結された日)により総収入金額に算入して申告があったときは、これを認める。
(注)1 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期は、資産の譲渡の当事者間で行われる当該資産に係る支配の移転の事実(例えば、土地の譲渡の場合における所有権移転登記に必要な書類等の交付)に基づいて判定をした当該資産の引渡しがあった日によるのであるが、当該収入すべき時期は、原則として譲渡代金の決済を了した日より後にはならないのであるから留意する。
(以下省略)
所得税基本通達 36-12 山林所得又は譲渡所得の総収入金額の収入すべき時期
こちらの通達を確認すると、譲渡所得は「引き渡しがあった日」、または「売却等に関する契約をした日」の属する年分の所得になることがわかり、仮想通貨も同様のタイミングで収益計上すべきことがわかります。
仮想通貨を年またぎで売却する場合の計算方法
仮想通貨の所得は、次の計算式で計算します。
仮想通貨の所得=総収入金額-必要経費
「必要経費」には、仮想通貨の取得価額も含まれます。
仮想通貨の取得価額は平均取得価額になります。仮想通貨を年またぎで売却した場合、取得価額は過去に取得した仮想通貨の取得価額も含めて算定します。
平均取得価額は、仮想通貨の種類ごと(ex.ビットコイン等)に「移動平均法」または「総平均法」で算定します。算定方法が2種類ありますが、平均取得価額を求める過程が異なります。
そのため、どちの計算方法を選択するかで取得価額が変わってきます。
詳細な計算方法の説明はしませんが、「年間取引報告書」と国税庁のこちらのサイト「暗号資産に関する税務上の取扱い及び計算書について」に掲載されている計算フォーマットを活用することで簡単に計算することができますよ。
仮想通貨の確定申告
税務署にばれるか
仮想通貨の売却益がでた場合、確定申告をしないと税務署にばれます。
税務署側で、仮想通貨の売却益に対する監視が強まっており、毎年億単位で仮想通貨の申告漏れが指摘されています。
仮想通貨の売却益は高額になりやすいこと、法整備が追い付いていないことを逆手にとってグレーゾーンの節税策が行われないよう注視する必要があることから、今後も税務署の監視の目が強くなることが予想されます。
また、申告漏れが指摘された場合、多額の追徴課税を請求されるリスクがあります。
確定申告が必要な場合は必ず申告するようにしましょう。
確定申告が必要な場合
会社員の場合、給与以外の合計所得金額が20万円超の際には確定申告が必要です。
雑所得が仮想通貨の売却益のみであるならば、年間で仮想通貨の売却益が20万円超の場合には確定申告が必要と考えてください。売却損となっている場合には確定申告が不要です。
雑所得である仮想通貨の確定申告のやり方は、次の記事で詳しく解説しています。
仮想通貨の計算ツール
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まとめ
今回は、仮想通貨を年またぎで売却する場合の税金の取り扱いについて解説しました。
仮想通貨は株や投資信託と違い次のことができません。
・売却損失の繰越
・株式や投資信託との損益通算
上記特徴を踏まえ、いつの年に売却するか検討するようにしましょう。
含み損を抱えている仮想通貨の売却は、他の仮想通貨で売却益が発生する年と同じ年にすると節税になりますよ。
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