持株会社の事業はどうする?メリットやデメリットも解説します

持株会社の事業は?メリット・デメリット 相続税

*この記事はプロモーションを含みます。

・持株会社を設立したいけど、どんな事業ができるのかわからない
・税務上のメリットを活かしたいけど、仕組みが複雑そう

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんなお悩みにお答えします。

本記事では、持株会社が一般的に行う事業内容や、持株会社を設立するメリット・デメリットについて詳しく解説します。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

持株会社の事業

持株会社がよく行う事業としては、次の4つが挙げられます。

子会社への経営指導

持株会社が子会社に経営指導やコンサルティングサービスを提供します。

業務受託

子会社のバックオフィス業務(人事・総務・経理など)を請け負います。

業務効率化とコスト削減を両立させることが期待されます。

不動産賃貸料

持株会社が不動産を保有し、子会社に事務所や工場を賃貸する不動産事業です。

グループ全体のオフィススペースの効率的な活用が可能となります。

子会社からの受取配当金

子会社が生み出した利益から支払われる配当金は、持株会社の安定的な収益源です。

完全子法人株式や関連法人株式に該当すれば、配当金の全額または一部が益金不算入となります

課税関係を生じさせずに資金を移動できるため、グループ内での資金移動が容易となります。

持株会社とは何か?

持株会社とは

持株会社とは、他の会社の株式を保有することで、その会社を管理するための会社形態です。

主に以下の2種類に分類されます。

  • 純粋持株会社: 事業を行わず、株式の保有と管理のみを目的とする会社。
  • 事業持株会社: 自社でも事業を行いながら、他の会社を支配・管理する会社。

持株会社の仕組みとその意義

持株会社は、親会社としての役割を果たし、複数の子会社を統括します。

この仕組みにより、以下のような効果が期待されます。

  1. 戦略的経営: グループ全体の戦略を立案し、実行を促進。
  2. リソースの最適化: 人材・資金・情報を効率的に配分。
  3. リスク管理: 子会社ごとに独立性を持たせることで、全体リスクを軽減。

持株会社の設立手法

持株会社の設立方法は、会社分割や株式移転が主流な方法となります。

適格組織再編であればどの手法でも課税関係は生じませんが、株式の簿価額が変わるのがポイントです。

区分会社分割株式移転
適格移転純資産簿価株主50人未満:株主簿価
株主50人以上;対象会社の簿価純資産+調整額
非適格時価時価

会社分割

会社分割を利用して持株会社を設立する方法は一般的です。

既存の事業を新設会社に移管し、持株会社として機能させます。事業用資産に不動産がある場合には登録免許税などの費用がかかるので注意が必要です。

株式移転

株式移転とは、既存の会社の株式を新設する持株会社に移転する方法です。

この手法では、株主は新設持株会社の株式を受け取る形になります。

事業承継における持株会社のメリット

持株会社の設立は、事業承継対策としても有効です

具体的なメリット・デメリットを紹介します。

相続税額軽減

純資産価額方式による評価を行う場合、含み益に対して法人税相当額の37%を控除することが可能なため相続税評価額を下げることができます。

ただし、「開業3年未満の会社」や「特定株式保有会社」などの会社に該当する場合は評価方法に注意が必要です。

株式等保有特定会社の株式

株式等保有特定会社の株式とは、評価会社の各資産の価額の合計額に占める株式等の価額の合計額の割合が50%以上の株式をいいます。

このような資産内容が著しく株式等に偏っている評価会社の株式について、類似業種批准価額方式を適用すると正しい評価が行えないため、原則として純資産価額方式により評価することとなっています。

開業後3年未満の会社

開業してから3年未満の会社も特定の評価会社に該当し、原則純資産価額方式による評価となります。

178⦅取引相場のない株式の評価上の区分⦆の「特定の評価会社の株式」とは,評価会社の資産の保有状況,営業の状態等に応じて定めた次に掲げる評価会社の株式をいい,その株式の価額は,次に掲げる区分に従い,それぞれ次に掲げるところによる。
なお,評価会社が,次の(2)又は(3)に該当する評価会社かどうかを判定する場合において,課税時期前において合理的な理由もなく評価会社の資産構成に変動があり,その変動が次の(2)又は(3)に該当する評価会社と判定されることを免れるためのものと認められるときは,その変動はなかったものとして当該判定を行うものとする。
(1)比準要素数1の会社の株式 (省略)
(2)株式等保有特定会社の株式
課税時期において評価会社の有する各資産をこの通達に定めるところにより評価した価額の合計額のうちに占める株式,出資及び新株予約権付社債(会社法第2条⦅定義⦆第22号に規定する新株予約権付社債をいう。)(189―3⦅株式等保有特定会社の株式の評価⦆において,これらを「株式等」という。)の価額の合計額(189―3⦅株式等保有特定会社の株式の評価⦆において「株式等の価額の合計額(相続税評価額によって計算した金額)」という。)の割合が50%以上である評価会社(次の(3)から(6)までのいずれかに該当するものを除く。以下「株式等保有特定会社」という。)の株式の価額は,189―3⦅株式等保有特定会社の株式の評価⦆の定めによる。
(3)土地保有特定会社の株式 (省略)
(4)開業後3年未満の会社等の株式
課税時期において次に掲げるイ又はロに該当する評価会社(次の(5)又は(6)に該当するものを除く。以下「開業後3年未満の会社等」という。)の株式の価額は,189―4⦅土地保有特定会社の株式又は開業後3年未満の会社等の株式の評価⦆の定めによる。
イ 開業後3年未満であるもの
ロ 183⦅評価会社の1株当たりの配当金額等の計算⦆の(1),(2)及び(3)に定める「1株当たりの配当金額」,「1株当たりの利益金額」及び「1株当たりの純資産価額(帳簿価額によって計算した金額)」のそれぞれの金額がいずれも0であるもの
(注) 配当金額及び利益金額については,直前期末以前2年間の実績を反映して判定することになるのであるから留意する。
(5) 開業前又は休業中の会社の株式 (省略)
(6) 清算中の会社の株式 (省略)
財産評価基本通達189:特定の評価会社の株式

評価会社が有する株式等の純資産価額の計算

持株会社を純資産価額方式で評価する場合、保有株式については法人税相当額の37%控除ができないので注意が必要です。

これは、個人が資産を直接所有し支配している場合と、個人が株式の所有を通じて会社の資産を間接的に所有し支配している場合とで、評価の均衡を図るための配慮となっています。

つまり、法人税相当額の控除は1回だけ適用でき、二重で控除はできません

185⦅純資産価額⦆の定めにより,課税時期における評価会社の各資産を評価する場合において,当該各資産のうちに取引相場のない株式があるときの当該株式の1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)は,当該株式の発行会社の課税時期における各資産をこの通達に定めるところにより評価した金額の合計額から課税時期における各負債の金額の合計額を控除した金額を課税時期における当該株式の発行会社の発行済株式数で除して計算した金額とする。
なお,評価会社の各資産のうちに出資及び転換社債型新株予約権付社債(197―5⦅転換社債型新株予約権付社債の評価⦆の(3)のロに定めるものをいう。)のある場合についても,同様とする。
(注)この場合における1株当たりの純資産価額(相続税評価額によって計算した金額)の計算に当たっては,186―2⦅評価差額に対する法人税額等に相当する金額⦆の定めにより計算した評価差額に対する法人税額等に相当する金額を控除しないのであるから留意する。
財産評価基本通達186の3:評価会社が有する株式等の純資産価額の計算

株主が資金を確保できる

株主が保有していた株式を持株会社に譲渡することとなるため、手元に納税資金を確保することが可能です。

手元資金は、相続税の納税資金や退職後の生活資金として使うことができます。

譲渡した利益に対しては譲渡所得税及び住民税を支払う必要があります。

株価上昇リスクの回避

将来株価の上昇が見込まれる場合、株主にとっては株式を現金化することで、相続税評価額の上昇を回避することができます

持株会社のデメリット

管理コストの増加

持株会社を運営するためには、追加的な管理費用が発生します。

また、法人税等の申告も必要となるため、事務手間の負担増も考えられます。

株式買い取り資金の確保が必要

株式の譲渡により持株会社を設立する場合、株式を買い取るための資金を確保する必要があります。

この資金調達が難航すると、計画全体に遅れが生じる可能性があります。

まとめ

持株会社は、事業活動の効率的化、事業承継対策を考える上で有効な選択肢となります。

ただし、その設立には多くの準備が必要であり、メリットとデメリットを十分に理解することが重要です。

持株会社を設立する際には、専門家である税理士に相談するようにしてください。

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