・4年落ちの高級車を購入すると税金対策になるって聞いたことがあるけどなんで?
・車を買って本当に節税効果があるの?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えします。
個人事業主になったら高級車を購入して経費に落とす。一度は憧れを抱く方も多いでしょう。
当期は利益が出たから節税目的で超高級車を購入しちゃった。
高級車の購入は本当に節税効果があるのか?この記事を読めばその答えがわかります。
本記事の内容は下記のとおりです。
・4年落ちの車を購入すると全額経費にできるため節税効果がある
・節税効果はあるが、節税目的の車の購入はオススメしない2つの理由
この記事を書いている私は、現在BIG4税理士法人で働いています。BIG4で働く前は2つの中小規模の税理士法人で働いていました。
クライアントが節税対策として車を購入することがあり、その結果どうなったのかを目にしています。その経験を基に今回解説しています。
税金対策で高級車を購入するのはなぜ?
税理士youtuberの方やブログ等で「税金対策のために4年落ちの高級車を購入しよう」という方がいます。なぜでしょうか?
それは、4年落ちの車を購入すると購入金額全額を即時に経費にでき、節税効果があるためです。
普通の車ではなく高級車とされるのは、購入金額が大きく損金にできる金額が増えるためです。もう一つ理由を挙げると、聞き手・読み手に「個人事業主になったら高級車買える!?」と思ってもらえた方がインパクトがありますよね。
個人事業主になって高級車に乗りまわす!憧れます。
4年落ちの車は即時損金化が可能
車のような固定資産を購入した場合、通常は資産計上をして減価償却を行います。減価償却とは、資産の購入金額を各資産ごとの耐用年数に応じて損金化していくことです。
耐用年数は、資産の種類ごとに決まっており国税庁のHPから確認できます。
https://www.city.fujieda.shizuoka.jp/material/files/group/130/taiyounensuuhyou.pdf
国税庁:減価償却資産の耐用年数表
ここでポイントなのは、耐用年数が短いほど早く減価償却ができるということです。
120万円の車を購入したとします。購入した車の耐用年数に応じて、損金にできるスピードが変わってきます(簡便な計算をしており実際の計算結果とは異なります)。
・耐用年数4年⇒4年間で120万円を損金計上
・耐用年数6年⇒6年間で120万円を損金計上
耐用年数4年と6年で比較すると、耐用円数4年の方が2年間も早く損金にできることがわかります。
そして、中古資産購入のメリットは、耐用年数の調整が入るため新車より耐用年数が短くなることです!
中古資産の耐用年数の計算方法は下記のとおりです。
耐用年数の一部を経過している場合 | (耐用年数-経過年数)+経過年数×20% |
耐用年数の全部を経過している場合 | 耐用年数×20% |
普通自動車の法定耐用年数は4年又は6年です。
4年落ちの車の場合、上記算式による計算の結果耐用年数が2年になります(計算結果が2年未満の場合は耐用年数2年となります)。
・法定耐用年数6年の4年落ちの車:(6年-4年)+4年×20%=2.8年⇒2年(端数切捨)
・法定耐用年数4年の4年落ちの車:4年×20%=0.8年⇒2年
つまり、新車ではなく中古車を購入することで損金にできるスピードが早くなります。
また、耐用年数2年の場合は1年で全額損金にできます(耐用年数2年の定率法の償却率が1%のため)。
本来は4年又は6年かけて損金計上していくところ、1年で全額損金にできるのですから節税効果がありますよね。
注意点としては、年の途中で購入した場合、償却費の計算は月数按分が必要です。期末に利益がでることがわかり4年落ちの高級車を購入しても、損金にできるのは購入金額の12分の1の金額です。一方で、期首月で購入すれば全額経費にできますのでより節税効果が高まります。
社長に期末で高級車購入を提案しようとしていました。危ない危ない。
車の購入は消費税も節税となる
車の購入は、損金が増えるため節税になることをお伝えしましたが、消費税の観点からも節税になります。
法人税や所得税は、固定資産の購入金額を耐用年数に応じて経費として認識します。
一方で、消費税は固定資産を購入した事業年度に全額課税仕入れを認識できますので、車の購入により消費税も節税となります。消費税の場合は、期首月ではなく期末月に購入しても問題ありません。
節税効果はあるが、税金対策として車購入をオススメしない2つの理由
結局キャッシュアウトしている
車を購入することで、法人税又は所得税及び消費税の面でも節税になります。
しかし、私は節税目的で車を購入することをオススメしていません。
それは、結局現金は減っているからです。
節税目的ではなく、事業に必要なため購入するのであれば問題ありません。しかし、節税目的で購入したにもかかわらず結局現金を支出するのはどうでしょうか。
ましてや、4年落ちの中古車であれば修繕費や維持費といったコストの発生も考えられます。
納めるべき税金を素直に納めた方が、結局キャッシュアウトする金額が少なかったなんてことも考えられます。下手な節税対策を考えるよりは、今後の事業拡大等にエネルギーを使うことをオススメします。
トータルでみれば節税効果はない
また、車の購入により節税になるとお伝えしましたが、節税になるのは購入初年度のみの話です。
1年間で償却しても4年間で償却しても、損金計上できるトータルの金額は同じです。
業界用語でいえば課税の繰延をしている(税金の支払いを後回しにしている)だけです。
まとめ
今回は、車の購入による節税効果について解説しました。
節税効果はありますが、キャシュアウトを伴うものであり個人的にはオススメしません。それよりも、より利益をあげる方法を考える方が有益でしょう。
また、税金対策をするのであればキャッシュアウトを伴わない対策をしましょう。私が有益だと考える税金対策は随時記事にしていきます。記事アップ時はtwitter(@TaroZeikin15214)でアナウンスしますので、気になる方は是非フォローしてみてください。
また、税理士youberとして有名なヒロ先生著作の下記本は、キャシュウアウトを伴わない税金対策の方法がわかりやすくまとめられています。税金対策に興味のある方は参考書籍として手元に置いておくことをオススメします。
また、次の記事では税理士の探し方について解説しています。
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