「法人は仮想通貨の含み益課税があるの?」
「仮想通貨は全て含み益課税の対象?」
「仮想通貨の節税のために法人成りは不要?」
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
・法人と個人の仮想通貨含み益課税の取り扱いの違い
・含み益課税される仮想通貨の範囲
・法人で仮想通貨を保有するメリット
この記事を書いている私は、世界4大税理士法人に勤務しています。現職の前には2つの中小規模の税理士法人で働いていました。私も実際に仮想通貨取引をしており、これまでに仕事で得た知識を基に解説しています。
![](https://www19.a8.net/0.gif?a8mat=3TH72W+2HWHWA+3OP8+HWI5T)
仮想通貨 法人は含み益課税あり?
法人が保有する仮想通貨の税金で注意が必要なのは、期末に時価評価をする必要があることです。
そして、法人税の計算をする際は時価評価した金額も所得に含めて計算を行います。評価益がでていれば税金が増え、評価損がでていれば税金が減ります。
個人の場合には時価評価の必要がなく、売却または仮想通貨をモノと交換した時に初めて税金がかかります。
つまり、法人の場合には仮想通貨の含み益があれば時価評価で課税されますが、個人の場合には含み益課税されません。これは法人と個人の大きな違いです。
ただし、法人も全ての仮想通貨を時価評価する必要はありません。
時価評価が必要な仮想通貨は、「活発な市場が存在する暗号資産」に限るとされています。参考条文は次のとおりです。
2 内国法人が事業年度終了の時において有する短期売買商品等(暗号資産にあつては、活発な市場が存在する暗号資産として政令で定めるものに限る。以下第4項までにおいて同じ。)については、時価法(事業年度終了の時において有する短期売買商品等をその種類又は銘柄(以下この項において「種類等」という。)の異なるごとに区別し、その種類等の同じものについて、その時における価額として政令で定めるところにより計算した金額をもつて当該短期売買商品等のその時における評価額とする方法をいう。)により評価した金額(次項において「時価評価金額」という。)をもつて、その時における評価額とする。
法人税法61条第2項
では、「活発な市場が存在する暗号資産」とはなんでしょうか。次の施行令を確認してみましょう。
第百十八条の七 法第六十一条第二項(短期売買商品等の譲渡損益及び時価評価損益)に規定する活発な市場が存在する暗号資産として政令で定めるものは、内国法人が有する暗号資産のうち次に掲げる要件の全てに該当するものとする。
一 継続的に売買の価格(他の暗号資産との交換の比率(次条第一項第四号において「交換比率」という。)を含む。以下この項及び同条第一項第三号において「売買価格等」という。)の公表がされ、かつ、その公表がされる売買価格等がその暗号資産の売買の価格又は交換の比率の決定に重要な影響を与えているものであること。
二 継続的に前号の売買価格等の公表がされるために十分な数量及び頻度で取引が行われていること。
三 次に掲げる要件のいずれかに該当すること。
イ 第一号の売買価格等の公表が当該内国法人以外の者によりされていること。
ロ 前号の取引が主として当該内国法人により自己の計算において行われた取引でないこと。
法人税法施行令118条の7第1項:(時価評価をする暗号資産の範囲)
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長い、、条文て読んでもよくわからないんだよな、。結局「活発な市場が存在する暗号資産」とはなんなんですか?
![もなた](https://zeichie.com/wp-content/uploads/2023/05/cg0cwv.jpg)
仮想通貨業者を通じて購入している仮想通貨は、活発な市場が存在する暗号資産と考えられます。ビットコイン等のメジャーな仮想通貨は基本的に時価評価の対象でしょうね。
・法人:含み益課税あり
・個人:含み益課税なし
法人で仮想通貨を保有するメリット
![もなたの弟子](https://zeichie.com/wp-content/uploads/2023/07/サラリーマン_?.png)
含み益課税があるなら、仮想通貨の節税目的で法人化する必要はないんですか?
![もなた](https://zeichie.com/wp-content/uploads/2023/05/cg0cwv.jpg)
そんなことはないですよ。法人化することのメリットはたくさんあるので説明しますね。
法人と個人の仮想通貨に関する税金の取り扱いの違いは次のとおりです。
法人 | 個人 | |
税率 | 法人税の最大税率23.2% | 所得税の最大税率45% |
損益通算 | 〇 | △ |
損失の繰越 | 〇 | × |
一つずつ説明していきます。
法人税率と所得税率
法人税の最大税率は23.2%です。
一方で、所得税は累進税率となっており最大税率は45%になります。所得税の税率は次のとおりです。
課税される所得金額 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
1,000円 から 1,949,000円 | 5% | 0円 |
1,950,000円 から 3,299,000円 | 10% | 97,500円 |
3,300,000円 から 6,949,000円 | 20% | 427,500円 |
6,950,000円 から 8,999,000円 | 23% | 636,000円 |
9,000,000円 から 17,999,000円 | 33% | 1,536,000円 |
18,000,000円 から 39,999,000円 | 40% | 2,796,000円 |
40,000,000円 以上 | 45% | 4,796,000円 |
最大税率で考えた場合、法人は個人の約半分の税率に抑えることができます。
法人も個人も所得によって税率が異なること、住民税等他の税金も考慮する必要があるため一概には言えませんが、仮想通貨で大きな利益がでる場合には法人の方が税金を安く済ませることができるでしょう。
損益通算
法人の場合、全ての事業から生じた損益を通算して最終的な利益を算定します。
仮想通貨で損失が生じた場合に、他の事業で生じた利益と損益通算が可能です。反対に仮想通貨で利益が出ていれば、他の事業で生じた損失と損益通算することも可能です。
一方で、個人の場合には仮想通貨の損益通算ができません。仮想通貨で損失がでても、株式や投資信託で生じた利益と損益通算ができないのです。
補足ですが、仮想通貨同士の損益通算は可能です。個人方の仮想通貨の税金の取り扱いに関しては、次の記事で詳しく解説しています。
![](https://zeichie.com/wp-content/uploads/2023/09/仮想通貨 税金やばい-160x90.png)
他事業の所得と損益通算ができる法人の方が、損益通算の観点からは有利と言えます。
損失の繰越
法人の場合には、欠損金を10年間繰り越すことができます。
個人の場合には、仮想通貨により生じた欠損金の繰越ができません。
仮想通貨は値動きが激しく、一時的に欠損金額が生じることが考えられます。この欠損金額を将来生じることが期待される仮想通貨の売却利益と損益通算できるのは大きなメリットです。
![もなた](https://zeichie.com/wp-content/uploads/2023/05/cg0cwv.jpg)
税率、損益通算、損失の繰越の観点から法人成りする優位性を解説しました。含み益課税はあるものの、仮想通貨の節税のために法人成りするメリットは十分あるでしょう。
![](https://www14.a8.net/0.gif?a8mat=3TH72W+2J3D3U+3VI8+67C4H)
税理士に相談しよう
仮想通貨の税金は複雑な上、売却益が高額になりやすく申告漏れ・間違いがあったときの影響額が大きいです。
また、税率が高いということは節税対策がより有効になります。
普段税金に触れていない方であれば、多少の報酬を支払ってでも確定申告は税理士にお願いする方が有利になるでしょう。
顧問税理士がいないという方は、「税理士ドットコム」というサイトで無料で税理士を紹介してくれます。仮想通貨で大きく利益が出そうな方は早めに相談するようにしましょう。
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まとめ
今回は、法人の仮想通貨の含み益課税について解説しました。
法人は個人と違い、含み益課税が課されます。しかし、税率、損益通算、損失の繰越等、法人成りすることのメリットは大きいです。
所得がどれ程でるかで法人と個人どちらが有利か変わってきますので、迷われる方は税理士に相談してみましょう。
![](https://www16.a8.net/0.gif?a8mat=3TCXFG+A94SM2+362E+68MF5)
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