・敷金、保証金、礼金の勘定科目は?
・仕訳を教えて
・消費税の取り扱いは?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
礼金、敷金(保証金)の勘定科目
礼金の勘定科目
礼金に関しては、礼金の金額が20万円以上か未満かで処理科目が変わります。
礼金が20万円以上
礼金の金額が20万円以上の場合は、税務上繰延資産となります。
つまり、一時の損金とはできませんので注意しましょう。
勘定科目は「長期前払費用」で処理します。
長期前払費用に計上した礼金は、償却期間5年(賃借期間が5年未満で、契約更新時に再び権利金等の支払を要するときは賃借期間)で償却していきます。
このことは、次の基本通達に記載されています。
次のような費用は、令第14条第1項第6号ロ《資産を賃借するための権利金等》に規定する繰延資産に該当する。
(1)建物を賃借するために支出する権利金、立退料その他の費用
(2)電子計算機その他の機器の賃借に伴って支出する引取運賃、関税、据付費その他の費用(注) 建物の賃借に際して支払った仲介手数料の額は、その支払った日の属する事業年度の損金の額に算入することができる。
仲介手数料は一時の損金にできます。これは、仲介手数料の金額はmaxでも1月分の賃借料に相当する金額以内と宅建業法46条で規定されており、金額僅少で重要性が低いためです。
礼金が20万円未満
礼金が20万円未満の場合には、一時の損金にすることができます。
勘定科目は、「支払手数料」や「地代家賃」で処理しましょう。
礼金の勘定科目
・礼金が20万円以上→長期前払費用
・礼金が20万円未満→支払手数料または地代家賃で一時の損金
敷金、保証金の勘定科目
敷金、保証金は基本的に将来返還されるものですので、「敷金」、「保証金」、「差入保証金」等の勘定科目で資産計上します。
将来賃貸借契約を解約し、これら敷金や保証金が返還された場合には資産計上した金額を取り崩します。
ただし、賃貸借契約書で敷金や保証金が将来返還されない、または償却される契約になっている場合には注意が必要です。
将来返還されない部分が20万円以上ある場合には、その返還されない部分に関しては礼金と同様に繰延資産として処理が必要です。
つまり、「長期前払費用」勘定で処理し償却期間に応じで償却していきます。
償却期間は礼金同様5年(賃借期間が5年未満で、契約更新時に再び権利金等の支払を要するときは賃借期間)となります。
将来返還されない部分の金額が20万円未満の場合には、一時の損金にすることができます。
礼金、敷金(保証金)の仕訳
続いて、礼金と敷金(保証金)の仕訳について解説します。
礼金の仕訳
礼金は、20万円以上か未満で取り扱いが異なるので分けて解説します。
20万円以上
礼金を30万円支払ったとした場合の仕訳は次のとおりです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
長期前払費用 | 300,000 | 現金預金 | 300,000 |
長期前払費用に計上した金額は、償却期間に応じて「減価償却費」勘定で償却していきます。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
減価償却費 | 60,000 | 長期前払費用 | 60,000 |
20万円未満
礼金が20万円未満であれば一時の損金にできます。
礼金を10万円支払ったとした場合の仕訳は次のとおりです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
地代家賃 | 100,000 | 現金預金 | 100,000 |
敷金(保証金)の仕訳
敷金(保証金)の仕訳は、将来返還されるかどうかで取り扱いが異なるので分けて解説します。
将来返還される場合
将来返還される敷金を30万円支払ったとした場合の仕訳は、次のとおりです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
敷金 | 300,000 | 現金預金 | 300,000 |
賃貸借契約を解約し、敷金が返還された場合の仕訳は、次のとおりです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
現金預金 | 300,000 | 敷金 | 300,000 |
将来返還されない場合
将来返還されない又は償却されていく敷金を30万円支払ったとした場合の仕訳は、次のとおりです。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
長期前払費用 | 3000,000 | 現金預金 | 300,000 |
長期前払費用に計上した金額は、償却期間に応じて「減価償却費」勘定で償却していきます。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方金額 |
減価償却費 | 60,000 | 長期前払費用 | 60,000 |
礼金、敷金(保証金)の仕訳
・礼金:金額が20万円以上かどうかで仕訳が変わる
・敷金(保証金):将来返還されるかどうかで仕訳が変わる
敷金(保証金)、礼金の消費税の取り扱い
敷金(保証金)・礼金の消費税は、居住用住宅に係るものであれば消費税は非課税取引となります。
反対に、事務所など居住用以外の物件に係る敷金(保証金)・礼金であれば消費税課税取引です。
居住用住宅の家賃は消費税法上、非課税取引と規定されていますが、この家賃の中には敷金・保証金・礼金等が含まれるという取り扱いです。
家賃には、月決め等の家賃のほか、敷金、保証金、一時金等のうち返還しない部分及び共同住宅における共用部分に係る費用を入居者が応分に負担するいわゆる共益費(6-13-1、6-13-2又は6-13-3の規定により住宅の貸付けに含まれないこととされる施設等に係る費用部分を除く。)も含まれることに留意する。
消費税法基本通達 6-13-9 家賃の範囲
ただし、敷金(保証金)のうち将来返還されるものは資産の譲渡等に該当しないため、対象の物件が居住用かどうかに関わらず消費税はかかりません。
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まとめ
今回は、敷金・保証金・礼金の勘定科目と仕訳、消費税の取り扱いについて解説しました。
敷金・保証金は、将来返還されるかどうかで取り扱いが変わります。
将来返還される場合は、「敷金」や「保証金」勘定で処理します。
将来返還されない場合は、「長期前払費用」勘定で処理し繰延資産として償却期間に応じて償却します。
礼金は、金額が20万円以上かどうかで取り扱いが変わります。
礼金が20万円未満の場合は、「地代家賃」や「支払手数料」等の勘定で損金処理します。
礼金が20万円以上の場合は、「長期前払費用」勘定で処理し繰延資産として償却期間に応じて償却します。
実務で間違えずに処理するようにしましょう。
amazonギフト券をもらえる不動産投資会社については、次の記事で詳しく解説しています。
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