消費税の個別対応方式_税理士がわかりやすく解説します

消費税の個別対応方式 わかりやすく解説 消費税

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・消費税の個別対応方式ってなに、?
・どうやって区分すればいいの?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回は、こんな疑問にお答えします。

個別対応方式で消費税の計算をする場合、課税仕入れを「課税対応」、「非課税対応」、「共通対応」の3つに分ける必要があります。

具体的にどの取引がどの区分に該当するのか分かりにくいものです。

本記事では、実務で迷いやすいポイントをわかりやすく解説していきます。

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人勤務経験有
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

消費税の個別対応方式

個別対応方式により仕入控除税額を計算する場合には、課税仕入れ等について、次の3つに区分して計算することとなっています。

□個別対応方式の3つの区分
①課税資産の譲渡等にのみ要するもの
②課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するもの
③課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの

区分するのは課税仕入れのみですので、寄付金などの課税対象外の仕入れについては考える必要がありません

課のみ対応

課のみ対応とは,課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいいます。

□課のみ対応の具体例
・課税資産の製造用にのみ消費し、又は使用される原材料,容器,包紙など
・課税資産に係る倉庫料,運送費,広告宣伝費など

法第30条第2項第1号⦅個別対応方式による仕入税額控除⦆に規定する課税資産の譲渡等にのみ要するもの(以下「課税資産の譲渡等にのみ要するもの」という。)とは,課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい,例えば,次に掲げるものの課税仕入れ等がこれに該当する。
なお,当該課税仕入れ等を行った課税期間において当該課税仕入れ等に対応する課税資産の譲渡等があったかどうかは問わないことに留意する。
(1)そのまま他に譲渡される課税資産
(2)課税資産の製造用にのみ消費し,又は使用される原材料,容器,包紙,機械及び装置,工具,器具,備品等
(3)課税資産に係る倉庫料,運送費,広告宣伝費,支払手数料又は支払加工賃等
消費税基本通達11-2-10:課税資産の譲渡等にのみ要するものの意義

非のみ対応

非のみ対応とは、非課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいいます。

□非のみ対応の具体例
・販売用の土地の取得に係る仲介手数料
・土地の譲渡に係る仲介手数料
・有価証券の売買手数料(売却時・購入時とも)
・住宅の賃貸に係る仲介手数料

ポイントは、「必要な」とあり「要した」ではありませんので、当課税期間において非課税資産の譲渡等があったかどうかは問われません

法第30条第2項第1号((個別対応方式による仕入税額控除))に規定する課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するもの(以下「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」という。)とは、非課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいい、例えば、販売用の土地の造成に係る課税仕入れ、賃貸用住宅の建築に係る課税仕入れがこれに該当する。
消費税法基本通達11-2-15:課税資産の譲渡等以外の資産の譲渡等にのみ要するものの意義

参考:国税庁「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A 問10

共通対応

共通対応とは,課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要するものが該当します。

□共通対応の具体例
・株券の印刷
・新株発行に伴って証券会社に支払う引受手数料

また、不課税取引に要する課税仕入れ等については、共通対応に該当するものとして取り扱うこととされています。

法第30条第2項第1号⦅個別対応方式による仕入税額控除⦆に規定する課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの(以下「課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するもの」という。)とは,原則として課税資産の譲渡等と非課税資産の譲渡等に共通して要する課税仕入れ等をいうのであるが,例えば,株券の発行に当たって印刷業者へ支払う印刷費,証券会社へ支払う引受手数料等のように資産の譲渡等に該当しない取引に要する課税仕入れ等は,課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当するものとして取り扱う。
消費税法基本通達11-2-16:資産の譲渡等に該当しない取引のために要する課税仕入れの取扱い

個別対応方式の区分時期

個別対応方式の区分は、原則として課税仕入れ等を行った日の状況により行う必要があります。

ただし、課税仕入れ等を行った日においてその用途が明らかでない場合、課税期間の末日までに用途区分が明らかにされた場合には、その課税期間の末日で区分してもいいとされています。

課税期間の末日までに用途が決まらない課税仕入れ等については、課税売上対応分又は非課税売上対応分のいずれにも区分されないため、共通対応分として区分することとなります。

個別対応方式により仕入れに係る消費税額を計算する場合において,課税仕入れ及び保税地域から引き取った課税貨物を課税資産の譲渡等にのみ要するもの,その他の資産の譲渡等にのみ要するもの及び課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに区分する場合の当該区分は,課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日の状況により行うこととなるのであるが,課税仕入れを行った日又は課税貨物を引き取った日において,当該区分が明らかにされていない場合で,その日の属する課税期間の末日までに,当該区分が明らかにされたときは,その明らかにされた区分によって法第30条第2項第1号⦅個別対応方式による仕入税額控除⦆の規定を適用することとして差し支えない。
消費税法基本通達11-2-20:課税仕入れ等の用途区分の判定時期

個別対応方式の区分方法

個別対応方式の区分は、取引ごとに区分するのが原則です。

しかし、次のような場合にはそれぞれの方法により区分することも認められています。

参考:国税庁「95%ルール」の適用要件の見直しを踏まえた仕入控除税額の計算方法等に関するQ&A 問14

事業部門単位

事業部門ごとに業務内容が明確に区分されており、当該事業部門が課税資産の譲渡等のみを行う事業部門である場合、事業部門ごとでの区分が認められています

上記の場合は、個別の取引ごとに分けても、事業部門ごとにわけても計算結果は同じになると考えられるためです。

勘定科目単位

勘定科目ごとに用途区分を行う場合も同様の考え方です。

勘定科目ごとに個別対応方式の区分が明確であれば、勘定科目単位の区分も認められます

共通対応を合理的な基準により区分

共通対応の課税仕入れ等でも、課税資産の譲渡等又は非課税資産の譲渡等との対応関係が明確かつ直接的で、合理的な基準により区分することができるものについては,その区分したところにより個別対応方式の計算を行うことが認められています

実務で適用する場合は慎重な判断が必要です

□適用のための3要件
①課税資産の譲渡等又は非課税資産の譲渡等との対応関係が明確かつ直接的
②生産実績のように既に実現している事象の数値のみによって算定される割合である
③その合理性が検証可能な基準により機械的に区分することが可能なもの

過去の裁判例では、建物の建築費用を「建物の使用面積割合」で合理的に区分して基本通達11-2-19を適用したところ、合理的な基準として認められた事例があり参考になるでしょう(TAINS:J62-5-35)。

課税資産の譲渡等とその他の資産の譲渡等に共通して要するものに該当する課税仕入れ等であっても,例えば,原材料,包装材料,倉庫料,電力料等のように生産実績その他の合理的な基準により課税資産の譲渡等にのみ要するものとその他の資産の譲渡等にのみ要するものとに区分することが可能なものについて当該合理的な基準により区分している場合には,当該区分したところにより個別対応方式を適用することとして差し支えない。
消費税基本通達11-2-19:共通用の課税仕入れ等を合理的な基準により区分した場合

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まとめ

今回は、消費税の個別対応方式について解説しました。

消費税の個別対応方式は複雑ですが、一つひとつルールを確認しながら進めれば、確実に対応できるようになります。

本記事を参考に、今一度課税仕入れの区分や考え方を整理してみてください。

区分に迷う取引については、税理士に相談するようにしましょう。

税理士のおすすめの探し方については、次の記事で解説しています。

税理士の探し方がわからない時のおすすめの探し方8選【税理士解説】
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