「仮想通貨を売却したら消費税がかかる?」
「仮想通貨と消費税の関係について教えて」
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
本記事を読むことで、次のことが理解できます。
・仮想通貨を譲渡した場合の課税売上割合の計算に対する影響
この記事を書いている私は、現在BIG4税理士法人で働いています。BIG4で働く前は2つの中小規模の税理士法人で働いていました。
私がこれまでに得た知識を基に解説しています。
仮想通貨と消費税の関係
仮想通貨を譲渡または貸し付けた場合及びマイニング報酬に係る消費税の取り扱いについて、取引ごとに解説していきます。
仮想通貨の譲渡に係る消費税
仮想通貨を譲渡しても、消費税はかかりません。
仮想通貨の譲渡は、消費税法上「支払手段の譲渡」に区分され消費税非課税取引となります。
つまり、仮想通貨を売却して利益が出たとしても消費税を納税する必要はありません。
消費税の納税額は増えないんですね!じゃあ消費税のことは気にせず取引をしていいということですね。
そのとおりです。ただし、所得税や法人税は納税額に影響がありますのでご注意ください。
以前は仮想通貨の譲渡にも消費税が課税されていました。平成29年度の改正で法律が整備がされ、仮想通貨の譲渡は非課税取引となりました。
仮想通貨の貸付に係る手数料
仮想通貨を貸し付けた際に受け取る手数料は、消費税の課税対象となります。
保有している仮想通貨を第三者に貸し付け利息をもらう取引をレンディングと言います。
消費税法上レンディングは通常の資産の貸し付けと同様に考えるため、貸し付けに係る手数料は消費税課税取引となります。
このことは国税庁のこちらのサイト「暗号資産に関する税務上の取扱いについて(情報)」でも解説されています。
マイニング報酬
マイニング報酬は、消費税がかからないと考えられます。
マイニング報酬とは、ネットワークの維持・管理を目的として取引記録を承認することで得る報酬です。
役務の提供として消費税課税取引と考えることもできますが、役務の提供を受けるものが仮想通貨の取引者全てとなり取引者を特定できないこと、仕入れ先では仕入税額控除の適用がないと考えられることから消費税の課税対象外と考えられています。
詳しくは国税庁のこちらのサイト「仮想通貨の税務上の取扱い-現状と課題-」をご参照ください。
仮想通貨の譲渡と課税売上割合
仮想通貨を譲渡した場合には、消費税法上「支払手段の譲渡」に該当し、非課税売上に該当することを説明しました。
消費税の計算をする際には課税売上割合を算出しますが、非課税売上は課税売上割合の分母に含めて計算する必要があります。
しかし、支払手段等の譲渡に該当する暗号資産の譲渡については、課税売上割合の算出に当たって課税売上割合の計算に含める必要はありません。根拠条文は下記のとおりです。
一 法別表第1第2号に規定する支払手段又は第9条第4項に規定する暗号資産若しくは特別引出権の譲渡
消費税法施行令 第48条②一 課税売上割合の計算方法
消費税の計算方法の詳細な説明は割愛しますが、非課税売上高が大きいほど課税売上割合が小さくなるため消費税の納税額が多くなる、つまり納税者にとっては不利となります。
しかし、仮想通貨の譲渡に関しては非課税売上に該当しますが課税売上割合に含めなくていいため、我々納税者にとっては有利な取り扱いとなります。
まとめ
今回は、仮想通貨の譲渡と消費税の関係について解説しました。
ポイントは下記のとおりです。
・仮想通貨の譲渡額は課税売上割合の計算に含めなくてよい
仮想通貨を売却しても、消費税額に影響はありませんので安心して取引して頂ければと思います。
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