【税理士解説】死亡退職金を支給したら提出すべき支払調書

死亡退職金を支給した場合の支払調書 プロモーション

・死亡退職金を支給したら支払調書の提出が必要?
・退職所得の源泉徴収票を提出すればいいの?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

この記事で解決できること

・死亡退職金を支給した場合に提出すべき支払調書
・「退職手当等受給者別支払調書」の提出範囲

この記事を書いた人

・20代税理士
・世界4大税理士法人に勤務
・税金やお金に係るお得な情報を発信中

退職手当等受給者別支払調書

従業員の方が亡くなり死亡退職金を支給した場合、「退職手当等受給者別支払調書」を提出する必要があります

退職死亡金は、みなし相続財産として相続税の課税対象となります。

次の各号のいずれかに該当する場合においては、当該各号に掲げる者が、当該各号に掲げる財産を相続又は遺贈により取得したものとみなす。この場合において、その者が相続人(相続を放棄した者及び相続権を失つた者を含まない。第15条、第16条、第19条の2第1項、第19条の3第1項、第19条の4第1項及び第63条の場合並びに「第15条第2項に規定する相続人の数」という場合を除き、以下同じ。)であるときは当該財産を相続により取得したものとみなし、その者が相続人以外の者であるときは当該財産を遺贈により取得したものとみなす。
二 被相続人の死亡により相続人その他の者が当該被相続人に支給されるべきであつた退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)で被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該給与の支給を受けた者について、当該給与
相続税法 第3条第1項第2号 相続又は遺贈により取得したものとみなす場合

そして、退職手当を支給した場合には「退職手当等受給者別支払調書」を支給した月の翌月15日までに税務署に提出する必要があります。

次の各号に掲げる者でこの法律の施行地に営業所、事務所その他これらに準ずるもの(以下この項及び次項において「営業所等」という。)を有するものは、その月中に支払つた生命保険契約の保険金若しくは損害保険契約の保険金のうち政令で定めるもの又は支給した退職手当金等(第3条第1項第2号に掲げる給与をいう。以下この項において同じ。)について、翌月15日までに、財務省令で定めるところにより作成した当該各号に定める調書を当該調書を作成した営業所等の所在地の所轄税務署長に提出しなければならない。ただし、保険金額又は退職手当金等の金額が財務省令で定める額以下である場合は、この限りでない。
二 退職手当金等を支給した者 支給した退職手当金等に関する受給者別の調書
相続税法第59条第1項第2号 調書の提出

「退職手当等受給者別支払調書」には、「その支給を受ける者の氏名、住所又は居所及び個人番号」、「退職手当金等の金額」、「支給確定日」等を記載します。

ただし、受給者(相続人等)ごとの退職手当金等の支払金額が100万円以下の場合には「退職手当等受給者別支払調書の提出は不要です

受給者が複数いる場合、100万円の判定は受給者ごとに判定します。

2 退職手当金等(法第59条第1項に規定する退職手当金等をいう。以下この条において同じ。)の支給をする者で法の施行地に営業所等を有するものは、同項(第2号に係る部分に限る。)の規定により、退職手当金等の支給を受ける者の各人別に、次に掲げる事項を記載した調書を作成しなければならない。
一 その支給を受ける者の氏名、住所又は居所及び個人番号
二 その月中に支給をした退職手当金等の金額
三 その支給の確定した日
四 その他参考となるべき事項
3 法第59条第1項ただし書に規定する財務省令で定める額は、100万円とする。
相続税法施行規則 第30条第2,3項 調書の記載事項等

死亡退職金であっても、死亡後3年を経過してから支給が確定したものについては、相続税の課税対象とならず、遺族の一時所得として所得税の課税対象になりますのでこの場合にも法定調書の提出は不要です。

死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。
所得税基本通達 34-2 遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等

「退職手当等受給者別支払調書」は、遺族の方の相続税の計算で必要になる書類ですので、3年以内に支給が確定し金額が100万円を超える場合には必ず発行するようにしてください

支払調書のフォーマット等は国税庁のこちらのサイト「F2-3 退職手当金等受給者別支払調書(同合計表)」をご参照ください。

退職所得の源泉徴収票の提出は不要

死亡退職金は、従業員の方が亡くなった後にその支給期が到来したものであり、相続税の課税価格計算の基礎に算入されるため所得税は課税されません

よって、「退職所得の源泉徴収票」の提出は不要

「退職所得の源泉徴収票」を提出するのは、退職所得に該当する退職手当等とされています。参考条文は次のとおりです。

2 居住者に対し国内において第30条第1項(退職所得)に規定する退職手当等(第200条(源泉徴収を要しない退職手当等の支払者)の規定によりその所得税を徴収して納付することを要しないものとされる退職手当等を除く。以下この章において「退職手当等」という。)の支払をする者は、財務省令で定めるところにより、その年において支払の確定した退職手当等について、その退職手当等の支払を受ける者の各人別に源泉徴収票二通を作成し、その退職の日以後1月以内に、一通を税務署長に提出し、他の一通を退職手当等の支払を受ける者に交付しなければならない。この場合においては、前項ただし書の規定を準用する。
所得税法 第226条第2項 源泉徴収票

死亡により退職した者に係る退職手当等で、その者の死亡後に支給期の到来するもののうち相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、所得税は課税されないこととされており退職所得に該当しません。

つまり、死亡退職金を支給する場合は所得税の源泉徴収は不要です

死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等(法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等をいう。)で、その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税しないものとする。
(注) 上記の給与等、公的年金等及び退職手当等の支給期については、36-936-10及び36-14の(1)に定めるところによる。
所得税基本通達 9-17 相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等

ちなみにですが、従業員が退職した場合には保管しておく必要がある「退職手当の受給に関する申告書」も、死亡退職金の場合には保管が不要となります。

住民税の手続きも

死亡退職金から話はそれますが、従業員が亡くなった場合、その年の住民税の未納付額は遺族の方が納付することになります。

そのため、「給与所得者異動届出書」を市区町村に提出する必要があります。

様式に関しては亡くなられた方の住居があった各市町村のHPを確認するか、電話で問い合わせてみましょう。

まとめ

今回は、死亡退職金に係る支払調書について解説しました。

死亡退職金を支給した場合には、「退職所得の源泉徴収票」ではなく「退職手当等受給者別支払調書」の作成が必要です

ただし、死亡退職金額が100万円以下であれば「退職手当等受給者別支払調書」の提出は不要です。

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