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会社で入っている保険、経理処理はどうすればいいの?
保険料は全部経費にしていいの?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
法人で保険に入ると、毎月(または毎年)の保険料をどう処理するかで迷う方が多いです。
実は、法人保険の経理処理は「全部経費」でも「全部資産」でもなく、保険の種類と受取人、解約したときに戻るお金の割合で決まります。
この記事では、現役税理士の私が、法人保険の経理処理の考え方を、仕訳例つきでわかりやすく解説します。
□この記事でわかること
・法人保険の経理処理を決める4つの確認ポイント
・保険の種類ごとの経理処理と仕訳例
・解約したとき、保険金を受け取ったときの仕訳
・AIを使い倒す現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中
法人保険の経理処理は「4つの確認」で決まる
法人保険の経理処理を決めるときは、まず保険証券(または設計書)で次の4つを確認します。
- 保険の種類:定期保険・医療保険・がん保険・養老保険・終身保険など
- 保険金の受取人:会社か、被保険者(役員・従業員)やその遺族か
- 被保険者:全従業員か、役員や一部の人だけか
- 解約返戻率:解約したときに、払った保険料のうち何%が戻るか(最も高くなる時点の割合を「最高解約返戻率」といいます)
同じ「定期保険」という名前でも、受取人や解約返戻率が違えば処理は変わります。商品名ではなく、契約の中身で判断するのがポイントです。

4つも確認するんですか…。結局、うちの会社の保険はどう処理すればいいんでしょう?

この4つをもとに判断する流れを、フローチャートにまとめました。上から順にたどってみてください。
【最高解約返戻率での判定】(保険期間3年以上の定期保険・医療保険で、2019年7月8日以後に契約したもの)
| 最高解約返戻率 | 経理処理 |
|---|---|
| 50%以下 | 全額 損金 |
| 50%超70%以下 | 年換算保険料が30万円以下なら全額 損金 それ以外は、保険期間の最初の4割の期間、保険料の40%を資産・60%を損金 |
| 70%超85%以下 | 保険期間の最初の4割の期間、保険料の60%を資産・40%を損金 |
| 85%超 | 保険料×最高解約返戻率×90%(11年目以降は70%)を資産、残りを損金 |
資産に計上した分は、あとで取り崩して損金にします。くわしくは「解約返戻率が50%を超える保険は一部を資産計上」で解説しています。
法人保険でよく使う勘定科目
法人保険の仕訳では、主に次の勘定科目を使います。
| 勘定科目 | 使う場面 |
|---|---|
| 支払保険料 | 経費(損金)になる保険料 |
| 保険積立金 | 解約返戻金などがあり、資産として計上する保険料 |
| 前払保険料 | 定期保険などで、一定期間だけ資産に計上する部分(保険積立金で処理する会社もあります) |
| 福利厚生費 | 全従業員を対象にした保険で、経費になる部分 |
| 役員報酬・給与 | 役員や特定の人だけが得をする保険料 |
| 雑収入・雑損失 | 解約返戻金や保険金と、帳簿の資産との差額 |
「損金」とは、法人税の計算で経費として差し引ける金額のことです。くわしくは損金算入とは?メリット含めわかりやすく解説もご覧ください。
定期保険・医療保険の保険料は原則として損金
定期保険(一定期間の死亡を保障する保険)や、医療保険・がん保険(税務上は「第三分野保険」といいます)は、原則として期間の経過に応じて損金になります。
| 受取人 | 経理処理 |
|---|---|
| 会社 | 損金(支払保険料) |
| 被保険者・遺族(全従業員が対象) | 損金(福利厚生費) |
| 被保険者・遺族(役員や特定の人だけが対象) | その人への給与(役員なら役員報酬) |
【仕訳例】受取人が会社の定期保険で、月30,000円を口座から支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 支払保険料 | 30,000 | 普通預金 | 30,000 |
ただし、最高解約返戻率が50%を超える定期保険・医療保険(保険期間3年以上)は、次の章のとおり一部を資産に計上します。
□ポイント
解約返戻金がない短期払いの定期保険・医療保険で、1人あたりのその年の保険料が30万円以下なら、払った年に全額を損金にすることも認められています。
解約返戻率が50%を超える保険は一部を資産計上
2019年(令和元年)7月8日以後に契約した定期保険・医療保険(一部の医療保険などは同年10月8日以後)は、最高解約返戻率によって、保険料の一部を資産に計上するルールになりました。
| 最高解約返戻率 | 資産に計上する期間 | 資産に計上する額 |
|---|---|---|
| 50%以下 | なし | なし(全額損金) |
| 50%超70%以下 | 保険期間の最初の4割 | 保険料の40% |
| 70%超85%以下 | 保険期間の最初の4割 | 保険料の60% |
| 85%超 | 原則、最高解約返戻率になる時期まで | 保険料×最高解約返戻率×90%(11年目以降は70%) |

最高解約返戻率って、どこを見れば分かるんですか?

保険会社の設計書に「解約返戻金の推移表」が載っています。返戻率がいちばん高い年の数字が、最高解約返戻率です。分からなければ、保険の担当者に聞けば教えてもらえますよ。
最高解約返戻率が70%以下で、1人あたりの年換算保険料(保険料の総額÷保険期間の年数)が30万円以下の場合は、この表は使わず、全額を損金にできます。
【仕訳例】最高解約返戻率65%、保険期間30年の定期保険で、年1,000,000円を支払った(最初の12年間)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 前払保険料 | 400,000 | 普通預金 | 1,000,000 |
| 支払保険料 | 600,000 |
資産に計上した前払保険料は、50%超85%以下の保険なら保険期間の75%が過ぎたあと(この例では22年6か月が過ぎたあと)から、保険期間が終わるまでに均等に取り崩して損金にします。
□注意
2019年7月7日以前に契約した保険には、古いルールがそのまま使われます。契約日によって処理が違うので、保険ごとに契約日を確認しておきましょう。

「うちの保険はどれに当たるんだろう…」と迷ったら、処理を決める前に税理士に相談するのが確実です。顧問税理士がいない方は、条件に合う税理士を無料で紹介してもらえる「税理士ドットコム」のようなサービスもあります。
養老保険は受取人で3パターンに分かれる
養老保険は、亡くなったときの死亡保険金と、満期まで生きていたときの満期保険金(生存保険金)の両方がある保険です。受取人の組み合わせで、次の3パターンに分かれます。
| 死亡保険金の受取人 | 満期保険金の受取人 | 経理処理 |
|---|---|---|
| 会社 | 会社 | 全額を資産に計上(保険積立金) |
| 被保険者の遺族 | 被保険者 | その人への給与 |
| 被保険者の遺族 | 会社 | 2分の1を資産(保険積立金)、2分の1を損金(福利厚生費) |
3つ目は「ハーフタックスプラン」と呼ばれます。ただし、役員や一部の従業員だけを被保険者にしている場合は、損金にしたい2分の1が給与扱いになります。原則として全従業員を対象にすることが前提です。

役員2人だけの会社でも、ハーフタックスプランは使えますか?

被保険者が役員だけだと、損金にしたい2分の1は役員への給与になります。役員本人に所得税がかかるので、加入する前に確認しておきましょう。
【仕訳例】ハーフタックスプランの養老保険で、月100,000円を支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 保険積立金 | 50,000 | 普通預金 | 100,000 |
| 福利厚生費 | 50,000 |
終身保険は資産計上が基本
終身保険は、一生涯の死亡保障があり、解約返戻金も大きくなりやすい保険です。会社が受取人の終身保険は、支払った保険料を全額、保険積立金として資産に計上するのが基本です(通達に直接の定めはありませんが、実務では養老保険と同じ考え方で処理します)。
【仕訳例】受取人が会社の終身保険で、月80,000円を支払った
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 保険積立金 | 80,000 | 普通預金 | 80,000 |
保険積立金の仕訳(解約・保険金を受け取ったとき)
解約返戻金や保険金を受け取ったときは、帳簿に積み上げてきた保険積立金(または前払保険料)を取り崩し、差額を雑収入か雑損失にします。
【仕訳例1】解約返戻金5,000,000円を受け取った(保険積立金の残高4,600,000円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 5,000,000 | 保険積立金 | 4,600,000 |
| 雑収入 | 400,000 |
【仕訳例2】解約返戻金4,300,000円を受け取った(保険積立金の残高4,600,000円)
| 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|
| 普通預金 | 4,300,000 | 保険積立金 | 4,600,000 |
| 雑損失 | 300,000 |
雑収入が出ると、その年の利益が増えて法人税がかかります。解約するタイミングは、役員の退職金を払う年など、大きな経費が出る年に合わせることが多いです。役員退職金の処理は役員退職金の勘定科目は?特別損失に計上?で解説しています。
年払いの保険料は決算で前払いに注意
保険料を1年分まとめて払った場合、決算日の時点でまだ来ていない期間の分は、本来は前払費用として資産に計上します。
ただし、支払った日から1年以内の分で、毎年同じように処理を続けているなら、払った年に全額を損金にすることが認められています(短期前払費用の特例)。損金になる種類の保険料に限られ、資産に計上する部分には使えません。
【仕訳例】12月決算の会社が、10月に掛け捨ての定期保険の1年分360,000円を支払った
| 処理 | 借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 短期前払費用の特例を使う | 支払保険料 | 360,000 | 普通預金 | 360,000 |
| 使わない(決算で翌1〜9月分を振り替え) | 前払費用 | 270,000 | 支払保険料 | 270,000 |
迷ったときに確認したい3つの資料
- 保険証券:契約日・契約者・被保険者・受取人・保険期間
- 設計書(解約返戻金の推移表):最高解約返戻率と、その時期
- 保険会社の「経理処理の参考資料」:保険会社が仕訳の例を用意していることが多い
会社で入っている保険が複数あるときは、決算の前に「保険の一覧表」(保険の種類・契約日・受取人・解約返戻率・処理方法)を作っておくと、毎年の処理がぐっと楽になります。
まとめ
- 法人保険の経理処理は、保険の種類・受取人・被保険者・解約返戻率の4つで決まる
- 定期保険・医療保険は原則損金。ただし最高解約返戻率が50%を超えると一部を資産計上
- 養老保険は受取人の組み合わせで3パターン。終身保険は資産計上が基本
- 解約・保険金の受け取り時は保険積立金を取り崩し、差額を雑収入・雑損失にする
保険は、加入したあとに処理を変えるのが難しいものです。特に、役員だけが入る保険や解約返戻率の高い保険は、税金の扱いが大きく変わります。迷ったら、契約する前に税理士に相談するのがおすすめです。
顧問税理士がいない方は、次の記事で税理士の探し方をまとめています。

※この記事は2026年10月時点の法人税基本通達(9-3-4〜9-3-6)をもとにした一般的な解説です。個別の契約の処理は、保険会社の資料や税理士に確認してください。


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