法人が赤字でもかかる税金4つと繰越の注意点

法人が赤字でもかかる税金4つと繰越の注意点 法人税

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会社が赤字なら、税金はゼロになる?
赤字なのに7万円かかるのはなぜ?
赤字は来年に持ち越せるの?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

結論からお伝えすると、会社が赤字なら法人税はかかりません。

ただし、法人住民税の均等割(最低で年7万円)・消費税・源泉所得税などは、赤字でもかかります。

また、赤字は青色申告をしていれば10年繰り越して、翌期以降の黒字と相殺できます。

この記事では、2026年10月時点の制度をもとに中小企業の税制を解説します。

□この記事でわかること
・法人が赤字でもかかる税金4つ
・赤字ならかからない税金
・赤字を10年繰り越すための条件
・法人税が戻る「繰戻し還付」
・赤字の会社がやりがちな3つの失敗

この記事を書いた人

・AIを使い倒す現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中

法人が赤字でもかかる税金4つ

法人税は「もうけ(所得)」にかかる税金なので、赤字ならかかりません。

一方で、もうけとは関係なく決まる税金は、赤字でもかかります。代表的なのは次の4つです。

1. 法人住民税の均等割(最低で年7万円)

均等割とは、会社が事務所を置いている都道府県と市町村に、もうけに関係なく納める住民税です。

会社の大きさ(資本金と従業員の数)で金額が決まります。

資本金1,000万円以下・従業員50人以下
  • 都道府県民税: 年2万円
  • 市町村民税: 年5万円
  • 合計: 年7万円

「赤字でも7万円かかる」と言われるのは、この均等割のことです。法人税ではなく、地方の住民税です。

自治体によっては、これより少し高い税率のところもあります。設立した年は、事務所があった月数で月割りになります。

2. 消費税(課税事業者の場合)

消費税は、もうけではなく「売上で預かった消費税−仕入れや経費で払った消費税」で決まります。

そのため、赤字でも、預かった消費税のほうが多ければ納めます。

特に、人件費が多い会社は注意が必要です。給料には消費税がかからないので、赤字でも消費税が出やすくなります。

法人成りしたばかりの会社は、最初の2期は消費税が免税になることがあります。

ただし、インボイスの登録をしていれば、免税の期間でも消費税を納めます。くわしくは、法人成りで消費税は2年免税?4つの注意点で解説しています。

3. 源泉所得税(役員報酬・給料から預かった分)

役員報酬や給料を払うときに差し引いた所得税(源泉所得税)は、会社の税金ではなく、預かったお金です。会社が赤字でも、期限までに納めます。

給料を払う人が常に10人未満の会社は、届出をすれば年2回(7月10日・1月20日)にまとめて納められます(納期の特例)。

納期の特例の条件は、国税庁の「No.2505 源泉所得税及び復興特別所得税の納付期限と納期の特例」で確認できます。

4. 固定資産税(パソコン・機械などの償却資産)

会社が持っている土地・建物のほか、パソコンや機械などの「償却資産」にも固定資産税がかかります。

もうけではなく、持っている資産の金額で決まる税金です。償却資産は、毎年1月1日に持っているものを、1月31日までに市町村へ申告します。

金額の合計(課税標準額)が150万円未満なら、税金はかかりません。ただし、申告は必要です。

他にもかかる税金

次の税金も、赤字かどうかに関係なくかかります。

  • 印紙税(契約書・領収書など)
  • 登録免許税(登記をするとき)
  • 自動車税(会社の車)

赤字なら法人税・事業税はかからない

赤字の期にかからない税金は、次のとおりです。

いずれも、もうけ(所得)をもとに計算する税金です。

  • 法人税・地方法人税
  • 法人事業税・特別法人事業税
  • 法人住民税の法人税割

注意したいのは、決算書が赤字でも、税金の計算では黒字になることがある点です。

例えば、交際費の上限を超えた分や、ルールどおりでない役員報酬は、税金の計算では経費になりません。

決算書の赤字が小さいときは、法人税がかかることもあります。

もなたの弟子
もなたの弟子

赤字なら税金ゼロ、ではないんですね…。

もなた
もなた

そうなんです。均等割の7万円は毎年かかるので、資金繰りの予定に入れておきましょう。

法人の赤字は10年繰り越せる(欠損金の繰越控除)

赤字の金額(欠損金)は、翌期以降に繰り越して、黒字と相殺できます。これを「欠損金の繰越控除」といいます。

2018年4月1日以後に始まった事業年度の赤字なら、10年間繰り越せます。

繰り越すための3つの条件

次の3つを満たしている必要があります。

  • 赤字の期に、青色申告で申告している
  • その後も、毎期続けて申告している
  • 帳簿や書類を保存している

中小企業は黒字と全額相殺できる

資本金1億円以下の中小企業は、繰り越した赤字を、翌期以降の黒字の全額と相殺できます。大きな会社は、黒字の50%までです。

繰越の例
  • 1期目: 200万円の赤字
  • 2期目: 300万円の黒字
  • 2期目の課税所得: 100万円

2期目は、300万円から1期目の赤字200万円を差し引いた、100万円分にだけ法人税がかかります。

繰越の条件は、国税庁の「No.5762 青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除」でも確認できます。

設立1期目は青色申告の届出の期限に注意

法人成りしたばかりの会社で、いちばん多い落とし穴がここです。

会社で青色申告をするには、税務署に「青色申告の承認申請書」を出します。設立1期目の期限は次のとおりです。

設立1期目の期限
  • 設立から3か月を過ぎる日
  • 最初の決算日
    →どちらか早い日の前日まで

この期限に間に合わないと、1期目は白色申告になります。1期目の赤字は、繰り越せなくなります。

1期目は、設立費用や準備の経費がかかって赤字になりやすい期です。会社を作ったら、すぐに出しておきましょう。

申請書の様式と出し方は、国税庁の「青色申告書の承認の申請」のページで確認できます。

法人成りの時期の考え方は、法人成り(法人化)のタイミングは?5つの目安で解説しています。

前の期の法人税が戻る「繰戻し還付」

前の期が黒字で法人税を払っていて、今期が赤字になった場合は、前の期の法人税の一部を返してもらえることがあります。

これを「欠損金の繰戻し還付」といいます。主な条件は次のとおりです。

  • 資本金1億円以下などの中小企業
  • 前の期も今期も、青色申告で申告
  • 今期の申告を、期限までに出す
  • 還付の請求書を、申告と一緒に出す
繰戻し還付の例
  • 前期: もうけ500万円・法人税75万円
  • 今期: 200万円の赤字
  • 戻る法人税: 30万円

戻る額は「前期の法人税×今期の赤字÷前期のもうけ」で計算します(上は単純にした例です)。

戻るのは国の法人税(地方法人税を含む)で、住民税・事業税は戻りません。

くわしい条件は、国税庁の「No.5763 欠損金の繰戻しによる還付」で確認できます。

なお、法人成りした1期目は、前の期がないので使えません。2期目以降の話です。

同じ赤字を、繰越と繰戻しの両方に使うことはできません。今すぐ現金を戻したいなら繰戻し、来期以降に大きな黒字の見込みがあるなら繰越が向いています。

迷ったら、申告の前に顧問税理士に相談してください。

赤字の会社がやりがちな3つの失敗

ここからは、赤字の期に特に気をつけたい3つの失敗を紹介します。

1. 赤字だから申告しない

「赤字で税金がないなら、申告しなくてもいい」というのは間違いです。赤字でも、毎期の申告は必要です。

  • 申告しないと、赤字を繰り越せない
  • 均等割は、赤字でも納める
  • 2期続けて遅れると、青色の取消しも

青色申告が取り消されると、それまでの赤字の繰越も使えなくなるおそれがあります。

2. 役員報酬を高く決めすぎて赤字にする

社長1人の会社でよくあるのが、役員報酬を高く決めすぎて、会社が赤字になるケースです。

役員報酬は、原則として期首から3か月以内に決めた額を、毎月同じ額で払う必要があります。期の途中で「赤字だから下げる」ことは、基本的にできません。

会社が赤字でも、社長個人には、受け取った役員報酬に所得税・住民税がかかります。会社の赤字は繰り越せても、個人の税金は戻りません。

役員報酬の額は、会社の利益の見込みとあわせて、期首に決めましょう。

3. 赤字にするために、駆け込みで経費を使う

決算の前に「税金を減らしたいから」と、必要のない物を買うのもおすすめしません。

税金は減っても、それ以上に会社の現金が減ります。また、赤字が続くと、銀行から融資を受けるときの評価が下がることがあります。

経費を使うなら、来期以降の売上につながるものかどうかで判断しましょう。

もなたの弟子
もなたの弟子

赤字にすれば得、というわけでもないんですね。

もなた
もなた

はい。税金だけでなく、会社にお金が残るかどうかで考えるのが大切です。

法人の赤字と税金のよくある質問

Q1
法人税は、赤字なら払わなくていいですか?
A1

はい、赤字の期は法人税はかかりません。ただし、法人住民税の均等割(最低で年7万円)・消費税・源泉所得税などはかかります。

Q2
赤字なのに「7万円」かかるのはなぜですか?
A2

法人住民税の「均等割」がかかるためです。もうけに関係なくかかる、地方の住民税です。

資本金1,000万円以下・従業員50人以下の会社なら、都道府県2万円と市町村5万円で、合計7万円です。

Q3
会社の赤字は何年繰り越せますか?
A3

2018年4月1日以後に始まった事業年度の赤字なら、10年間繰り越せます。10年のうちに黒字と相殺しきれなかった分は、使えなくなります。

Q4
白色申告の赤字は繰り越せますか?
A4

原則として繰り越せません(災害による損失などを除きます)。

設立1期目から青色申告にするには、設立から3か月を過ぎる日か最初の決算日の、早いほうの前日までに届出が必要です。

Q5
赤字になると、法人税は戻ってきますか?
A5

前の期に法人税を払っていれば、「繰戻し還付」で戻ることがあります。

資本金1億円以下などの中小企業で、青色申告をしていて、今期の申告を期限までに出すことが条件です。

Q6
個人事業主のときの赤字は、法人に引き継げますか?
A6

引き継げません。個人の赤字は、個人の確定申告の中で繰り越します(青色申告なら3年間)。

法人成りした年は、個人と会社の赤字を別々に考えます。

まとめ

法人が赤字でも、税金がゼロになるわけではありません。ポイントは次のとおりです。

  • 均等割・消費税などは赤字でもかかる
  • 青色申告なら赤字を10年繰り越せる
  • 1期目は青色申告の届出期限に注意
  • 前期が黒字なら法人税が戻ることも

赤字の期こそ、申告を期限までに出し、来期以降に赤字を生かせるようにしておくことが大切です。

※2026年10月時点の制度をもとにした、一般的な内容です。実際に判断するときは、顧問税理士に確認してから進めてください。

赤字の期こそ、決算の前に税理士に相談を

今期が赤字になりそうな方や、法人成りしたばかりの方は、決算の前に税理士に見てもらうのがおすすめです。

特に次の3つは、決算のあとでは直せません。

  • 青色申告の届出が出ているか
  • 来期の役員報酬をいくらにするか
  • 繰越と繰戻し還付のどちらを使うか

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