法人成り(法人化)のタイミングは?5つの目安

法人成り(法人化)のタイミングは?5つの目安 法人向け

*当記事はプロモーションを含みます。

法人成りって、いつしたらいいの?
所得がいくらを超えたら法人化するべき?
インボイスが始まってから、考え方は変わった?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

売上が伸びてきて、「そろそろ法人成りしたほうがいいのかな」と考え始めた方も多いのではないでしょうか。

現役税理士である私が、法人成りのタイミングを5つの目安で整理し、2026年10月からのインボイスの変化もあわせて解説します。

□この記事でわかること
・法人成りのタイミングを考える5つの目安
・2026年10月からのインボイスの変化と法人成り
・法人成りを急がないほうがいいケース
・1年のうち、いつ法人成りするか

この記事を書いた人

・AIを使い倒す現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中

法人成り(法人化)とは

法人成りとは、個人事業主として続けてきた事業を、株式会社や合同会社などの会社に切り替えることです。「法人化」とも呼ばれます。

仕事の中身は同じでも、税金の計算のしかたや、お金の出し入れのルールが大きく変わります。

もなたの弟子
もなたの弟子

「儲かってきたら法人化」って聞くけど、いくらから考えればいいんですか?

もなた
もなた

金額だけで決まるわけではないんです。法人成りのタイミングを、5つの目安で整理しますね。

法人成りのタイミングを考える5つの目安

1. 所得(利益)が800万〜900万円を超えてきた

いちばんよく使われる目安が、所得(売上から経費を引いた利益)です。

個人の所得税は、所得が増えるほど税率が上がる「累進課税」という仕組みです。

一方、会社の税金(法人税など)は、税率の上がり方がゆるやかです。

税率の比べ方の目安
  • 個人(課税所得900万円超の部分)
    所得税33%+住民税10%
  • 会社(所得400万円以下)
    約21% ※
  • 会社(所得800万円以下)
    約23% ※
  • 会社(所得800万円超)
    約34% ※

※会社は中小企業の場合で、法人税・住民税・事業税を合わせた目安です。個人は、復興特別所得税と個人事業税を含めていません。

個人のままだと、所得が900万円を超えた部分には40%を超える税金がかかります。会社なら、所得800万円までは20%台前半です。

ただし、会社の利益はそのまま自分のお金にはなりません。

自分への給料(役員報酬)として受け取る分には、個人の所得税がかかります。

役員報酬には、会社員と同じ「給与所得控除(給料から差し引ける、経費のような枠)」が使えます。

利益を「会社に残す分」と「役員報酬で受け取る分」に分けられるのが、法人成りで税金が減る仕組みです。

そのため、目安は所得800万〜900万円前後とよく言われます。家族構成やほかの収入で変わるため、あくまで目安として考えてください。

2. 課税売上高が1,000万円を超えた

2つめの目安は、消費税です。

個人事業主は、2年前(基準期間)の売上が1,000万円以下なら、原則として消費税を納めなくてよい「免税事業者」です。

売上が1,000万円を超えると、その2年後から消費税を納める「課税事業者」になります。

法人成りすると、会社は新しく始まるため、基準期間の売上がありません。資本金1,000万円未満の会社なら、設立から最初の2期は、原則として免税事業者になれます。

ただし、次の場合は免税になりません。

  • 最初の6か月の売上と給与が、どちらも1,000万円を超えた
  • インボイス(適格請求書発行事業者)の登録をした

インボイスの登録をすると、免税の期間でも消費税を納めることになります。取引先が会社の場合は、登録が必要になることが多いでしょう。

そのため、「法人成りすれば消費税が2年間かからない」とは限らない点に注意してください。

免税にならないケースや、インボイスの登録・会社へ移す資産など、法人成りの消費税で気をつけたい点は、次の記事にまとめています。

→ 法人成りで消費税は2年免税?4つの注意点【税理士解説】

3. 取引先から法人との取引を求められた

税金だけでなく、取引先からの信用も法人成りのきっかけになります。

  • 「法人でないと契約できない」という決まりがある会社がある
  • 金融機関の融資で、法人のほうが評価されやすいことがある
  • 求人を出すときに、会社のほうが応募が集まりやすい

大きな取引の話が来たときは、税金の損得とあわせて考えるタイミングです。

4. 人を雇う・家族に給料を払いたい

人を雇って事業を広げたいときも、法人成りを考えるタイミングです。

家族に給料を払う場合、個人事業主では「青色事業専従者給与」の届出などのルールがあります。会社なら、役員や従業員として、仕事に見合った給料を払う形にできます。

家族で所得を分けられると、1人に所得が集中するより税率が下がることがあります。

5. 長く事業を続ける見通しが立った

法人成りには、長く続けるほど効いてくるメリットもあります。

  • 自分の退職金を会社から受け取れる(退職金は税金が軽くなる仕組みがある)
  • 赤字を翌年以降に繰り越せる期間が、個人の3年に対して会社は10年
  • 会社で入る生命保険などを、条件しだいで経費にできる

逆に、数年でやめる予定の事業なら、設立や解散の費用のほうが大きくなりがちです。

会社の保険の経理については、法人保険の経理処理を税理士が解説|仕訳例つきでくわしく解説しています。

2026年10月からのインボイスの変化と法人成り

インボイスの登録をしている個人事業主は、法人成りの時期に特に注意が必要です。

免税事業者からインボイスの登録をした人は、これまで「2割特例」を使えました。売上にかかる消費税の2割だけを納めればよい特例です。

この2割特例は、2026年9月30日を含む課税期間までで終わります。かわりに、次のようになりました。

2割特例のあと
  • 個人事業主
    3割特例を使える
    (2027年分・2028年分)
  • 会社
    3割特例は使えない
  • 2026年10月以降に設立した会社
    2割特例も使えない

つまり、インボイスの登録をしている個人事業主が法人成りすると、個人のままなら使えた3割特例が使えなくなります。

会社の場合は、簡易課税(業種ごとの割合で、納める消費税を計算する方法)か、通常の計算かを選ぶことになります。

どちらが有利かは業種で変わるため、法人成りの前に比べておきましょう。

2割特例・3割特例・簡易課税で、納める消費税がどれくらい変わるかの例は、法人成りで消費税は2年免税?4つの注意点【税理士解説】で紹介しています。

もなたの弟子
もなたの弟子

消費税だけで、法人成りの損得が逆になることもあるんですね。

もなた
もなた

そうなんです。所得税だけで決めず、消費税もセットで考えてくださいね。

法人成りを急がないほうがいいケース

次のような場合は、法人成りを急がなくてもよいかもしれません。

所得がまだ少ない

会社は、赤字でも住民税の「均等割」がかかります。最低でも年7万円ほどです(自治体によって違います)。

所得が少ないうちは、税金が減る分より、こうした固定の費用のほうが大きくなりがちです。

決算や手続きの手間を増やしたくない

会社になると、決算書と法人税の申告書を作る必要があります。個人の確定申告より手間がかかるため、税理士に頼む費用も上がるのが一般的です。

また、会社は社会保険への加入が原則として必要になり、会社の負担分の費用がかかります。

お金を自由に引き出したい

会社のお金は、自分のお金ではなくなります。必要なときに自由に引き出すことはできません。

役員報酬は、原則として毎月同じ額にする必要があり、年の途中で自由に変えることはできません。

手元のお金の動きが変わる点も、知っておきましょう。

1年のうち、いつ法人成りするか

法人成りすると決めたら、次は「何月にするか」です。

年の途中で法人成りすると申告が2つになる

年の途中で法人成りした場合、その年は次の2つが必要です。

  • 1月から法人成りまでの、個人の確定申告
  • 会社の最初の決算・申告

1月1日に法人成りすれば、個人の申告は前の年の分で終わります。ただ、年末年始は準備が大変です。

手間の差はそれほど大きくないので、事業の区切りのよい時期を選んでかまいません。

決算月は忙しい時期を避ける

会社は、決算月(事業年度の終わりの月)を自由に決められます。

  • 事業の繁忙期と、決算の時期が重ならない月にする
  • 設立から最初の決算までを、なるべく長くとる

最初の決算までが短いと、すぐに決算の手間と費用がかかります。設立月の前の月を決算月にすると、1期目をほぼ12か月とれます。

役員報酬は設立から3か月以内に決める

役員報酬は、原則として設立から3か月以内に決め、その後1年間は同じ額にします。

1年分の利益の見込みを立ててから決めないと、税金で損をすることがあります。法人成りの前に、1年分の売上と経費の見込みを出しておきましょう。

まとめ

法人成りのタイミングの目安をまとめます。

  • 所得(利益)が800万〜900万円を超えてきた
  • 課税売上高が1,000万円を超えた
  • 取引先から法人との取引を求められた
  • 人を雇う・家族に給料を払いたい
  • 長く事業を続ける見通しが立った

インボイスの登録をしている人は、2027年・2028年分の3割特例が個人だけの特例である点も、あわせて考えてください。

どれか1つに当てはまったら必ず法人成り、という単純な話ではありません。

税金・消費税・手間・お金の動きをまとめて比べることが大切です。

法人成りのタイミングを税理士に相談するなら

所得が800万円に近づいてきた方や、インボイスの登録をしていて消費税が気になる方は、法人成りを決める前に、一度税理士に試算してもらうのがおすすめです。

相談するときは、次の3つを用意しておくと話が早く進みます。

  • 直近の確定申告書(2〜3年分)
  • 今年の売上と経費の見込み
  • インボイスの登録をしているかどうか

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