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役員報酬を0円にしても大丈夫?
社会保険料を考えると、いくらがいい?
0円でも確定申告は必要?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
結論からお伝えすると、役員報酬は0円にしても問題ありません。
ただし、0円から金額を変更できるのは、原則として事業年度が始まってから3か月以内です。社会保険料も考えると、一人社長は「0円」か「月6万円前後」を選ぶことが多いです。
この記事では、2026年10月時点の制度をもとに、役員報酬0円のデメリットと決め方、確定申告な場合を解説します。
□この記事でわかること
・役員報酬0円が問題ない理由
・社会保険料も考えた決め方
・役員報酬0円の5つのデメリット
・0円の場合の確定申告
・AIに強い現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中
役員報酬0円は法律上も税金の上も問題なし
役員報酬とは、会社が社長などの役員に支払う給料のことです。税金の上では、毎月同じ額を支払う「定期同額給与」にすると、会社の経費(損金)になります。
役員報酬の額に、最低額の決まりはありません。0円にしても、法律上も税務上も問題ありません。
ただし、一人社長の会社でも、株主総会で「役員報酬は0円」と決めた議事録は残しておきましょう。記録になります。

0円にしておけば、税金も社会保険料も安くなるんですよね?

0円がいちばん得、とは限らないんです。社会保険料も決め方から見ていきましょう。
社会保険料も考えた役員報酬の決め方
一人社長の役員報酬は、大きく分けて3つの決め方があります。社会保険と社長の所得税がどうなるかを比べると、次のとおりです。
| 役員報酬 | 社会保険 | 社長の所得税 |
|---|---|---|
| 0円 | 入らない (国保と国民年金) | かからない |
| 月6万円前後 | 一番下の等級で加入 | かからない |
| 生活費をまかなう額 | 報酬に応じて上がる | 報酬に応じてかかる |
※所得税は、社長に役員報酬以外の所得がない場合です。
月6万円前後がよく選ばれる理由
健康保険・厚生年金の保険料は、報酬の額を区切りのよい「標準報酬月額」に当てはめて計算します。
標準報酬月額には下限があり、報酬が少なくても、一番下の等級の保険料はかかります。
- 健康保険:報酬月額6万3,000円未満
→標準報酬月額5万8,000円 - 厚生年金:報酬月額9万3,000円未満
→標準報酬月額8万8,000円
そのため、役員報酬を月6万3,000円未満にすると、保険料はいちばん低い額になります。月6万円前後が選ばれるのは、このためです。
- 健康保険:5万8,000円×10.13%
=約5,900円 - 厚生年金:8万8,000円×18.3%
=約1万6,100円 - 合計:月約2万2,000円
(会社と社長で半分ずつ)
※健康保険料率は、協会けんぽの2026年度の全国平均9.9%に、子ども・子育て支援金0.23%を加算した目安です。料率は都道府県で異なり、40〜64歳は介護保険料(1.62%)が加わります。
年72万円の報酬なら、2026年分の所得税では、給与所得控除(最低74万円)を引くと所得は0円です。
つまり、他に所得がなければ社長に所得税・住民税はかかりません。
社会保険に入ると、国民年金と国民健康保険には入らなくなります。将来の年金に厚生年金が上乗せされ、病気で休んだときの傷病手当金があるのも違いです。
0円にした場合は、社長が国民年金(2026年度は月1万7,920円)と国民健康保険料を自分で支払います。国民健康保険料は、前年の所得と住んでいる市区町村で決まります。
会社と社長の負担を合わせて比べるのがポイントです。
目的別の役員報酬の決め方
一人社長の状況別に、よく選ばれる決め方をまとめると次のとおりです。
- 会社員のまま会社を作った:0円が多い
- 法人成り直後で売上が読めない:0円か月6万円前後
- 個人事業も続けている:月6万円前後も選択肢
- 会社の利益で生活する:生活費と税率で決める
会社員のまま会社を作った場合は、勤務先の社会保険にすでに入っているため、0円にすることが多いです。
会社の利益で生活する場合は、会社にかかる法人税と、社長にかかる所得税・住民税を比べて決めます。
計算の例は「【税理士作成】役員報酬の手取り額シミュレーション表!月額で計算」で紹介しています。
マイクロ法人で報酬を低くするときの注意
マイクロ法人とは、社長1人の小さな会社のことです。個人事業を続けながら会社も持ち、会社から低い役員報酬を受けて社会保険に入る形がよく紹介されています。
ただし、厚生労働省は2026年3月に、役員報酬より多い「会費」などを支払わせて社会保険に入れる仕組みは、被保険者と認めないことを明確にしました。
会社で実際に仕事をして、その対価として報酬を受けていることが前提です。名前だけの役員にならないようにしましょう。
役員報酬0円の5つのデメリット・注意点
1. 期の途中で報酬を上げられない
0円から報酬を上げられるのは、原則として事業年度が始まってから3か月以内です。期の途中で「利益が出たから」と上げると、上げた分は会社の経費になりません。
くわしくは次の章で解説します。
2. 会社に利益が残ると法人税がかかる
役員報酬が0円だと、その分だけ会社に利益が残り、法人税がかかります。社長の給与所得控除(2026年分の所得税は最低74万円)も使えません。
赤字でも、法人住民税の均等割はかかります。資本金1,000万円以下・従業員50人以下の会社なら、多くの地域で年7万円です。
赤字の会社にかかる税金は「法人が赤字でもかかる税金4つと繰越の注意点」で解説しています。
3. 会社の社会保険に入れない
役員報酬が0円の社長は、原則として会社の健康保険・厚生年金に入れません。国民健康保険と国民年金に入り、保険料は自分で支払います。
将来の年金は国民年金だけになり、病気で休んだときの傷病手当金もありません。
4. 社長個人の収入を証明できない
住宅ローンやクレジットカード、賃貸住宅の審査では、社長個人の収入を見られます。役員報酬が0円だと、所得の証明書に収入が出ないため、審査に通りにくくなります。
住宅ローンなどを予定しているなら、早めに役員報酬を出しておきましょう。
5. 役員退職金を出しにくい
役員退職金の金額は、「最終の役員報酬の月額×役員を務めた年数×倍率」で考えるのが一般的です。
役員報酬が0円のままだと、この計算の土台がなく、退職金を出しても経費として認められにくくなります。
なお、0円の間に社長が会社の運転資金を出すときは「役員借入金」になります。仕訳は「【税理士解説】役員借入金の勘定科目と仕訳例は?」で解説しています。
0円からあとで報酬を上げるときのルール
上げられるのは事業年度が始まってから3か月以内
役員報酬の額を変えられるのは、原則として事業年度が始まってから3か月以内です。株主総会で新しい額を決め、その後は毎月同じ額を支払います。
設立1期目は、設立の日から3か月以内に決めます。
改定できる時期の数え方は「【税理士解説】定期同額給与の改定時期はいつ?期首変更はOK?」でくわしく解説しています。
- 4月〜6月:株主総会で額を決める
- その後:毎月同じ額を支払う
- 翌年の4月〜6月:また見直せる
3か月を過ぎてから上げた分は、会社の経費(損金)になりません。
例外は、役員の地位や仕事の中身が大きく変わったときなど(臨時改定事由)です。「利益が出たから」「資金繰りの都合で」は、例外になりません。
役員報酬を変えられる時期と理由は、国税庁の「No.5211 役員に対する給与(平成29年4月1日以後支給決議分)」で確認できます。
役員賞与を出したいなら事前確定届出給与
期の途中で報酬を出したいときは、ボーナスの形で支払う「事前確定届出給与」という方法もあります。支払う時期と金額を、前もって税務署に届け出る必要があります。
くわしくは「役員報酬の事前確定届出給与とは」で解説しています。

「最初の1年は0円、2期目の始めの3か月以内に見直す」のように、見直す時期を先に決めておくと安心ですよ。
役員報酬0円の確定申告
社長個人はほかに所得がなければ不要
役員報酬が0円で、ほかに所得がなければ、社長個人の所得税の確定申告は必要ありません。
次のような所得がある場合は、確定申告が必要です。
- 個人事業を続けている
- 不動産の家賃収入がある
- 会社員で、給与以外の所得が年20万円を超える
確定申告が必要ない場合でも、市区町村から住民税の申告を求められることがあります。国民健康保険料の軽減の判定などに使われるため、案内が届いたら提出しましょう。
役員報酬を出したら会社で年末調整
役員報酬を出した場合は、会社が毎月の源泉徴収と年末調整をします。ほかに所得がなければ、社長の確定申告は必要ありません。
個人事業も続けている場合は、確定申告で役員報酬と事業所得を合わせて申告します。
会社の申告は0円でも毎年必要
役員報酬が0円でも、会社の法人税・地方税の申告は毎年必要です。売上がなくても、赤字でも同じです。
役員報酬0円のよくある質問
- Q1役員報酬が0円でも大丈夫ですか?
- A1
大丈夫です。役員報酬に最低額の決まりはなく、0円にしても法律上も税金の上でも問題ありません。
ただし、あとから金額を変更できるのは、原則として事業年度が始まってから3か月以内です。
- Q2役員報酬を0円にすると、社会保険はどうなりますか?
- A2
原則として、会社の健康保険・厚生年金には入れません。
社長は国民健康保険と国民年金に入り、保険料を自分で支払います。
- Q3マイクロ法人で役員報酬なしは問題ありませんか?
- A3
税金の上では問題ありません。ただし、会社に利益が残れば法人税がかかり、赤字でも均等割はかかります。
社会保険に入るなら、月6万円前後が一番下の等級です。
- Q4役員報酬が0円の社長は、確定申告が必要ですか?
- A4
ほかに所得がなければ、所得税の確定申告は必要ありません。
個人事業や不動産の所得があれば必要です。会社の申告は、0円でも毎年必要です。
- Q5途中から役員報酬を出すことはできますか?
- A5
出すことはできますが、事業年度が始まってから3か月を過ぎて出した分は、会社の経費になりません。
期の途中で出したいときは、事前確定届出給与も検討しましょう。
まとめ
- 役員報酬0円は問題ない
- 上げられるのは期首から3か月以内
- 月6万円前後なら保険料は最低の等級
- 0円なら国保と国民年金に入る
- ほかに所得がなければ確定申告は不要
- 会社の申告は0円でも毎年必要
特に、0円にする期間と、見直す時期を最初に決めておくことが大切です。
※2026年10月時点の制度をもとにした、一般的な内容です。実際に判断するときは、顧問の税理士先生に確認してから進めてください。
役員報酬を決める前に税理士に見てもらうなら
役員報酬は、事業年度が始まってから3か月以内しか見直せません。報酬額を決める前に、会社の利益の見込みと社長の生活費をもとに、税理士に相談するのがおすすめです。
相談するときは、次のものを用意しておくと話が早く進みます。
- 会社の売上・利益の見込み
- 社長の毎月の生活費
- 社長のほかの所得(個人事業など)
- (法人成りなら)直近の確定申告書
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法人成りの時期の決め方は「法人成り(法人化)のタイミングは?5つの目安」で解説しています。

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