社長である自分の分も、年末調整は必要?
社長1人の会社は、どう年末調整するの?
年末調整をしたら、確定申告はしなくていい?
こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。
結論からお伝えすると、役員報酬を受け取っている社長は、従業員と同じように年末調整の対象です。
社長1人の会社なら、会社として社長自身の分を計算します。
ただし、会社から利息や家賃を受け取っている場合や、法人成りした年などは、年末調整をしても確定申告が必要です。
この記事では、2026年分(令和8年分)の年末調整をもとに、社長の年末調整のやり方と、確定申告が必要になる5つの場合を解説します。
□この記事でわかること
・役員が年末調整の対象になる条件
・一人社長の年末調整のやり方
・2026年分の変更点
・社長が確定申告をする5つの場合
・年末調整をしなかったときの対応
・AIに強い現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中
役員も年末調整の対象になる3つの条件
役員報酬は、税金の上では「給与」です。そのため、社長や役員も、従業員と同じように年末調整をします。
年末調整の対象になるのは、次の3つにすべて当てはまる人です。
- 扶養控除等申告書を提出している
- 1年の給与(役員報酬)が2,000万円以下
- 12月まで会社に勤めている
社長の場合、よく迷うのは次のようなケースです。
| 社長のケース | 年末調整 |
|---|---|
| 役員報酬を 受け取っている | する |
| 役員報酬が 0円 | しない |
| 役員報酬が 2,000万円超 | しない (確定申告) |
| 他の会社に扶養控除 申告書等を提出 | しない (確定申告) |
2社の役員を兼務している社長は、扶養控除等申告書を提出できるのは1社だけです。提出した会社で年末調整をし、もう1社の分は確定申告で合算して申告します。
役員報酬を0円にしている会社は、給与の支払いがないので、年末調整もいりません。0円にするときの注意点は「役員報酬0円は大丈夫?デメリット5つと決め方」でまとめています。
年末調整の対象になる人は、国税庁の「No.2665 年末調整の対象となる人」で確認できます。
一人社長の年末調整のやり方4ステップ
社長1人の会社でも、やることは従業員がいる会社と同じです。会社(給与を支払う側)として、社長本人(受け取る側)の分を計算します。
ステップ1:11月に自分の申告書を書く
まず、社長が受け取る側として、年末調整の申告書を書きます。
- 扶養控除等(異動)申告書
- 基礎控除・配偶者控除などの申告書
- 保険料控除申告書
生命保険や地震保険の控除証明書もそろえます。
社長が個人で入っている小規模企業共済やiDeCoの掛金も、保険料控除申告書に書けば年末調整で差し引けます。証明書を忘れずに保管しておきましょう。
ステップ2:12月に1年分の税額を計算する
1年分の役員報酬と、毎月差し引いた源泉所得税を集計します。そこから1年分の正しい税額を計算します。
計算は、給与計算のソフトや会計ソフトの年末調整の機能を使えば、申告書の内容を入れるだけでできます。
ステップ3:12月の役員報酬で差額を精算する
毎月差し引いた税額が多すぎれば、差額を社長に返します。足りなければ、12月の報酬から多めに差し引きます。

12月だけ手取りが変わると、役員報酬が毎月同じ額でなくなりませんか?

定期同額給与かどうかは、税金を引く前の支給額で見ます。年末調整の精算で手取りが変わっても、支給額が同じなら問題ありませんよ。
ステップ4:1月に納付して書類を提出する
年が明けたら、源泉所得税の納付と、書類の提出をします。2026年分の期限は次のとおりです。
| やること | 期限 |
|---|---|
| 12月分の 源泉所得税の納付 | 2027年 1月12日 |
| (納期の特例の 会社) | 2027年 1月20日 |
| 源泉徴収票の 交付(社長にも) | 2027年 1月31日 |
| 法定調書合計表・ 給与支払報告書 | 2027年 2月1日 |
12月分の納付は、本来の1月10日が日曜、11日が成人の日のため、1月12日になります。法定調書なども1月31日が日曜のため、2月1日です。
役員だけの会社は、納期の特例で半年分をまとめて納付していることが多いです。
納付期限は「【2026年・2027年】源泉所得税の納付期限一覧|毎月納付と納期の特例」でくわしく解説しています。
また、今回から市区町村に給与支払報告書を提出すれば、税務署には源泉徴収票を提出したことになります(源泉徴収票のみなし提出)。
これまで、役員の源泉徴収票は年150万円を超えると、税務署にも提出が必要でした。2027年1月1日以後に提出する分から、この二度手間がなくなります。
ただし、社長本人に渡す源泉徴収票は、これまでどおり作ります。
2026年分の年末調整で社長に関係する変更点
2026年分(令和8年分)の年末調整は、税制改正で次の3つが変わりました。
- 基礎控除が最大104万円に
- 給与所得控除の最低額が74万円に
- 扶養親族の所得要件が62万円に
毎月の源泉徴収は改正前の税額のままなので、差額は年末調整でまとめて精算します。今年は還付になる人が多くなります。
役員報酬を低くしている社長は、所得税では、役員報酬が年74万円までなら給与の所得が0円になります。月6万円(年72万円)なら、所得税の上では給与の所得はありません。
扶養に入っている家族の所得要件も上がったので、家族を役員にしている会社は、扶養控除等申告書の記入を見直しましょう。
変更点は、国税庁の「年末調整がよくわかるページ(令和8年分)」で確認できます。
年末調整をしても社長が確定申告をする5つの場合
会社員は、年末調整をすれば確定申告はいらないことがほとんどです。でも社長は、次の5つのどれかに当てはまると確定申告が必要です。
- 役員報酬が年2,000万円を超える
- 会社から利息や家賃を受け取っている
- 給与以外の所得が年20万円を超える
- 2か所以上から給与を受け取っている
- 法人成りした年
2か所以上から給与を受け取っている場合は、金額によって申告がいらないこともあります。
なお、医療費控除や寄附金控除、住宅ローン控除の1年目は、年末調整では受けられません。これらを受けたいときも確定申告をします。
会社からの利息・家賃は20万円以下でも申告
社長がいちばん見落としやすいのが、この場合です。社長が自分の会社から利息や家賃を受け取っていると、金額が少なくても確定申告が必要です。
ふつうは「給与以外の所得が20万円以下なら申告しなくていい」というルールがありますが、社長と自分の会社の取引には使えません。
たとえば、次のような場合です。
- 会社に貸したお金の利息がある
- 自宅の一室を会社に貸している
- 社長名義の車や建物を貸している
社長が会社に貸したお金の仕訳は「【税理士解説】役員借入金の勘定科目と仕訳例は?」で解説しています。利息を付けていないなら、この申告は関係ありません。
確定申告が必要な人の条件は、国税庁の「No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。
法人成りした年は個人事業の分と合わせて申告
2026年の途中で法人成りした社長は、会社で年末調整をしても、2026年分の確定申告が必要です。
1月から会社をつくるまでの個人事業の所得があるためです。確定申告では、個人事業の所得と、会社からの役員報酬を合わせて計算します。
役員報酬の分は、源泉徴収票の金額をそのまま確定申告に書けば大丈夫です。
法人成りの時期の考え方は「法人成り(法人化)のタイミングは?5つの目安」でまとめています。
社長が年末調整をしなかったときの対応
年末調整をしないままだと、毎月差し引いた税額のままになり、1年分の税額とずれます。その場合は、社長本人が確定申告をして精算します。
申告書の出し忘れや、家族の人数の変更に気づいたときは、源泉徴収票を作る前なら、年末調整をやり直せます。
年末調整をしなくても、源泉徴収票は社長本人の分も作ります。融資や住宅ローンの審査などで、社長の源泉徴収票を求められることがあります。

自分しかいない会社なら、年末調整はしなくてもいいですよね?

源泉徴収票や給与支払報告書の提出は、年末調整をしなくても毎年あります。1年分を集計するなら、年末調整まで済ませたほうが楽ですよ。
年末調整を税理士に頼む場合の費用は「年末調整を税理士に頼む費用は?相場と頼める範囲」で解説しています。
役員の年末調整のよくある質問
- Q1会社の役員は、年末調整が必要ですか?
- A1
役員報酬を受け取っていれば必要です。
役員報酬は給与なので、扶養控除等申告書を提出し、年2,000万円以下なら、従業員と同じように年末調整をします。
- Q2役員報酬がない場合、年末調整は必要ですか?
- A2
必要ありません。
給与の支払いがないため、年末調整も源泉徴収票もいりません。役員報酬のほかに所得があれば、社長個人で確定申告をします。
- Q3一人社長の年末調整は、どうやってやるのですか?
- A3
会社として、社長本人の申告書をもとに1年分の税額を計算し、12月の役員報酬で差額を精算します。
計算は給与計算ソフトや会計ソフトでできます。
- Q4役員も確定申告が必要ですか?
- A4
年末調整をすれば、多くの場合は不要です。
ただし、会社から利息や家賃を受け取っている、役員報酬が2,000万円を超える、法人成りした年などは必要です。
- Q5役員報酬の年末調整で還付金が出たら、どうなりますか?
- A5
12月(または1月)の役員報酬と一緒に、社長に返します。
返した分は、会社が納める源泉所得税から差し引きます。2026年分は改正で還付になる人が多い年です。
- Q6役員が年末調整をしない場合、どうすればいいですか?
- A6
社長本人が確定申告をして、1年分の税額を精算します。
年末調整をしなくても、会社は源泉徴収票を作り、給与支払報告書を提出します。
まとめ
役員の年末調整のポイントをまとめます。
- 役員報酬があれば社長も年末調整
- 役員報酬0円なら年末調整は不要
- 一人社長は会社として自分の分を計算
- 利息・家賃を受け取る社長は確定申告
- 法人成りした年も確定申告
※2026年11月時点の制度をもとにした、一般的な内容です。実際に判断するときは、顧問の税理士先生に確認してから進めてください。
年末調整と記帳をまとめて任せたい方へ
社長1人の会社でも、年末調整・源泉徴収票・法定調書・給与支払報告書と、年末から1月は書類が続きます。
どれも、1年分の記帳と役員報酬の記録がそろっていれば、短い時間で終わります。
この記事を書いている私(もなた)も、記帳代行のご依頼を承っています。
AIで速く記帳し、税理士が最終チェックする記帳代行です。記帳と一緒に、年末調整や法定調書もまとめて見られます。
記帳を任せると、次のようなよさがあります。
- 毎月の数字が早くわかる
- 決算の前に節税の手を打てる
- 年末の書類も同じ数字で作れる
ご希望の方は、下のボタンのお問い合わせフォームからご連絡ください。
料金の目安は「記帳代行の相場は?依頼先別の料金と3つの選び方」でまとめています。記帳を自分で続けるか迷っている方は、まず相場から確かめてみてください。

コメント