インボイス経過措置70%はいつから?仕訳と5つの注意点

インボイス経過措置70%はいつから? 法人向け

仕入れの控除は10月から70%になった?
9月分を10月に支払ったら80%?70%?
会計ソフトの区分はどう変える?

こんにちは。
税理士のもなた(@TaroZeikin15214)です。
今回はこんな疑問にお答えしていきます。

結論からお伝えすると、2026年10月1日から、免税事業者などからの仕入れで差し引ける消費税は、80%から70%に下がりました。

80%と70%のどちらになるかは、支払った日ではなく、品物を受け取った日や作業が終わった日で決まります。

この記事では、国税庁の「令和8年度税制改正特集」とインボイスQ&A(2026年4月改訂)をもとに、70%控除が始まる時期と控除割合、仕訳と帳簿の注意点を解説します。

□この記事でわかること
・70%控除が始まる時期と割合
・消費税がいくら増えるかの計算例
・9月と10月をまたぐ取引の判定
・帳簿と会計ソフトの切りかえ方
・1社あたり年1億円の上限

この記事を書いた人

・AIに強い現役税理士
・世界4大税理士法人での勤務経験あり
・法人成りと会社の税金をわかりやすく発信中

インボイス経過措置の70%控除が始まる時期と割合

インボイスの経過措置とは、インボイスをもらえない相手からの仕入れでも、消費税の一部を差し引ける期間限定のしくみです。

相手は、免税事業者や、インボイスの登録をしていない事業者などです。本来は差し引けませんが、急に負担が増えないよう、割合を少しずつ下げていきます。

2026年度(令和8年度)の税制改正で、この期限が2年延長され、割合も細かく見直されました。

仕入れた時期差し引ける
割合
2023年10月〜
2026年9月
80%
2026年10月〜
2028年9月
70%
2028年10月〜
2030年9月
50%
2030年10月〜
2031年9月
30%
2031年10月〜なし

改正前は、2026年10月から3年間50%、その後はなしの予定でした。いきなり50%に下がるはずが、70%・50%・30%の3段階になったわけです。

期間と割合は、国税庁の「令和8年度税制改正特集」で確認できます。

影響があるのは原則課税の会社

この見直しで納める消費税が増えるのは、仕入れの消費税を実際の金額で差し引く「原則課税」の会社です。

簡易課税や2割特例の会社は、売上げの消費税から計算するので、この見直しで納める消費税は変わりません。

なお、2割特例は2026年9月30日を含む課税期間まで使えます。3月決算の会社なら、2027年3月期までです。

70%控除で増える消費税の計算例

「70%控除」とは、仕入れにかかった消費税にあたる金額のうち、7割を売上げの消費税から差し引けるという意味です。

免税事業者の外注先に、毎月11万円(税込み)を支払っている会社で試算してみます。11万円にふくまれる消費税にあたる金額は、1万円です。

割合1か月1年
80%8,000円96,000円
70%7,000円84,000円

1年で差し引ける額が12,000円減り、その分、納める消費税が増えます。

3月決算の会社なら、2027年3月期は4〜9月が80%、10〜3月が70%です。この例だと、1年で差し引ける額は90,000円(48,000円+42,000円)になります。

金額は、国税と地方税を合わせた10%で計算した目安です。

インボイス経過措置70%の5つの注意点

ここからは、仕訳と帳簿で気をつけたい5つの点を見ていきます。

注意点1:10月をまたぐ取引は仕入れた日で判断する

80%と70%のどちらを使うかは、仕入れた日(課税仕入れの時期)で判断します。

支払った日や、請求書の日付ではありません。

取引判断する日割合
商品の仕入れ受け取った日9月30日まで80%
10月1日から70%
作業・
サービス
終わった日10月に終われば
全額70%
9月分を
10月に支払った
9月中に
終わった日
80%

たとえば、9月21日から10月20日まで作業してもらい、10月31日に支払った場合です。作業が終わった10月20日で判断するので、9月分の作業もふくめて全額70%になります。

商品の仕入れなら、9月30日までに受け取った分は80%、10月1日以後に受け取った分は70%に分けます。

この判定は、国税庁の「インボイスQ&A 問113-3」で確認できます。

注意点2:1年分の前払いは支払った日の割合

保守料などを1年分まとめて前払いし、短期前払費用として支払った期の経費にしている場合です。

この場合は、支払った日の割合で全額を計算します。2026年1月に1年分を支払っていれば、10月以後の分もふくめて80%です。

参照:国税庁 インボイスQ&A 問113-4

注意点3:帳簿で80%と70%を書き分ける

経過措置を受けるには、帳簿に、経過措置の対象の仕入れであることを書いておきます。国税庁のQ&Aでは「80%控除対象」「免」などの例が示されています。

3月決算などで、同じ期に80%と70%の仕入れが混ざる会社は、どちらの割合か帳簿で書き分けましょう。「※は70%控除対象」のように、記号と説明を付ける方法も認められています。

帳簿の書き方の条件は、国税庁の「インボイスQ&A 問113」で確認できます。

請求書の条件は変わりません。相手の名前、日付、内容、税率ごとの金額、自社の名前が書かれた請求書や領収書を保存します。

摘要欄に何を書くかは、「仕訳に取引先は必要?摘要欄に書く3つのこと」で解説しています。

注意点4:会計ソフトの区分を70%に切りかえる

会計ソフトでは、免税事業者からの仕入れを経過措置用の区分で入力します。2026年10月1日以後の取引は、70%用に切りかえます。

freee会計:税区分「課対仕入(控80)10%」を、「課対仕入(控70)10%」に変えます。軽減税率(8%)の仕入れは「課対仕入(控70)8%(軽)」です。

マネーフォワード クラウド会計:税区分はそのままで、仕訳の「インボイス」の欄で「80%控除」か「70%控除」を選びます。

マネーフォワードは取引日に合わせて自動で入る機能があり、70%控除は2026年9月30日以前の取引日には使えないようになっています。

切りかえたら、10月以降の仕訳が80%のまま残っていないか、取引先ごとに一度見直しておくと安心です。

自動で仕訳するルールに80%の区分を入れている場合は、ルールも直しましょう。

もなたの弟子
もなたの弟子

10月分を、もう80%で入力してしまいました…

もなた
もなた

消費税の申告の前なら、区分を70%用に直して、帳簿の記載をそろえれば大丈夫ですよ。

注意点5:1つの取引先あたり年1億円の上限

1つの免税事業者などからの仕入れが、1年(事業年度)で税込み1億円を超えると、超えた部分は経過措置を使えません。改正前の上限は10億円でした。

この上限は、2026年10月1日以後に始まる課税期間から適用されます。3月決算の会社なら、2027年4月から始まる期からです。

割合は仕入れた日で切りかわりますが、上限は期の始まりで切りかわります。始まる時期が違うので注意しましょう。

中小企業で関係するのは、大口の外注先や仕入先が免税事業者のまま、という場合です。月平均で約830万円(税込み)を超える取引がある相手は、確かめておきましょう。

インボイス経過措置のよくある質問

Q1
70%控除は、いつの取引から適用されますか?
A1

2026年10月1日以後に仕入れた分からです。

支払った日や請求書の日付ではなく、品物を受け取った日や作業が終わった日で判断します。

Q2
「課対仕入(控80)10%」とは、どういう意味ですか?
A2

freee会計の税区分で、免税事業者などからの10%の仕入れを、80%差し引く区分です。

2026年10月1日以後の仕入れは「課対仕入(控70)10%」を使います。

Q3
10月以降も80%で入力してしまいました。どうすればいいですか?
A3

消費税の申告の前なら、その仕訳の区分を70%用に直し、帳簿の記載も「70%控除対象」にそろえれば足ります。

申告の後に気づいた場合は、直し方を顧問の税理士先生に確認しましょう。

Q4
簡易課税や2割特例でも、影響はありますか?
A4

この見直しで、納める消費税は変わりません。

仕入れの消費税を実際の金額で差し引かず、売上げの消費税から計算するためです。一般課税に切りかえたあとは影響があります。

Q5
免税事業者の取引先に、登録をお願いしてもいいですか?
A5

お願いすること自体は問題ありません。

ただ、登録しないことを理由に一方的に値下げすると、独占禁止法や取適法の問題になることがあります。

取適法の注意点は「振込手数料が先方負担の仕訳|3つの処理と消費税」でもふれています。

まとめ

インボイス経過措置の見直しのポイントをまとめます。

  • 2026年10月から80%→70%
  • 受け取った日・終わった日で判断
  • 同じ期の80%と70%は書き分け
  • 会計ソフトの区分を70%用に

※2026年10月時点の制度をもとにした、一般的な内容です。実際に判断するときは、顧問の税理士先生に確認してから進めてください。

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